チャコリクガメ

チャコリクガメ（Chelonoidis petersi）について

概要

チャコリクガメはリクガメ科に属するカメで、その名は南米のグランチャコ地域に生息することに由来しています。全体的に小型で、最大甲長は約25センチメートルと非常にコンパクトです。このカメは、独特の形状と特徴的な色彩を持ち、特にその保護状況が注目されています。

分布

チャコリクガメは主にアルゼンチン北部、パラグアイ西部、ボリビア南東部に分布しており、これらの地域の温帯夏雨気候の砂漠や半砂漠、低木が生い茂る平原などに生息しています。

形態

このリクガメは、背甲がややドーム状になっており、後部縁甲板には鋸状の尖りが見られますが、老齢個体ではその特徴が失われることもあります。背甲の色は灰褐色や黄褐色で、初生甲板は淡色、甲板の継ぎ目は暗色が目立つことが多いです。また、腋下甲板と鼠蹊甲板はやや小さめです。腹甲は黄褐色で、時には楔形の暗色斑が見られることもあります。頭部は中型で、前肢は頑丈で掘るのに適しており、大型の鱗が覆っています。尾の先端にも特徴的な鉤状の大型鱗があります。

分類

チャコリクガメの種小名「petersi」は、彼を記念して名付けられたもので、命名当初は他の種と混同されることがありました。しかし、後に行われた研究により、南北の個体群が異なる生息環境で生活していることが分かり、本種は独立した種と見なされるようになりました。

生態

このカメの生息地では、地面に浅い穴や深い穴を掘り、そこを巣穴として利用します。巣穴は温度や乾燥から身を守るための重要な場所です。一部の個体群は冬季にこの巣穴で休眠を行います。食性は草本や果実、多肉植物などの植物質を中心にしています。

繁殖形態は卵生で、交尾は雨期の初めに行われ、卵は雨期の終わりに産卵されます。卵から孵化した幼体は翌年または翌々年の雨期に地面に出てきます。

人間との関係

チャコリクガメは、食用とされることもありますが、開発や野焼き、家畜による生息地の喪失、さらには乱獲によってその数は減少しています。現在、アルゼンチンからの輸出は禁止されていますが、依然として密輸が行われることがあり、摘発例も増加しています。日本でもペットとしての飼育が行われており、1980年代までは多くのアルゼンチン産個体が流通していました。最近では、アメリカ、ウルグアイ、チェコでの繁殖が進み、少数の飼育下繁殖個体や養殖個体が流通しています。

まとめ

チャコリクガメはその希少性と特異な生態から、保護活動が求められる生物です。生息環境の保全や乱獲の防止が重要な課題となっています。

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