チャタリング

チャタリングとは

チャタリングとは、機械的な接点を持つスイッチやリレーなどが接触する際に発生する、非常に高速で微細な振動現象のことです。この現象は、接触が一度で安定せず、複数回のオンオフを繰り返すために、電気信号の不安定化や、意図しない動作を引き起こす原因となります。

チャタリングは、スイッチやリレーの接点が接触する際の弾性衝突や、片持ち梁構造に起因する振動によって発生します。特にマイクロスイッチのような小さな接点を持つ部品で発生しやすく、接点に電圧が掛かっている場合は、信号の断続的な繰り返しという形で現れます。

この現象は非常に短時間で収まることが多いものの、電子回路の誤動作を引き起こす要因となるため、通常は回路設計やソフトウェアによる対策が施されます。

また、電気系のチャタリングとは別に、油圧系においても弁体が弁座を叩く現象も「チャタリング」と呼ばれることがあります。さらに、接触を伴わない振動現象は「フラッタリング」と呼ばれます。

パソコンにおけるチャタリング

パソコンのキーボードやマウスにおいても、チャタリングが問題となることがあります。

例えば、キーボードでキーを一度押しただけなのに、複数回入力されてしまう現象や、マウスのシングルクリックがダブルクリックとして認識されてしまう現象は、一般的に「チャタリング」と呼ばれています。

これらの問題は、接点の劣化や物理的な接触不良が原因であることが多く、場合によってはスイッチの交換が必要となります。

チャタリングの対策

チャタリング対策の基本は、入力信号に一定の遅延を持たせることです。しかし、遅延が許容できない場合には、特殊な手法を用いる必要があります。

逆側のエッジを使う

スイッチの接点が接触する側（オンになる側）のエッジではなく、離れる側（オフになる側）のエッジを利用することで、チャタリングの影響を軽減できます。これは、接点が離れる際にもチャタリングが発生するものの、その影響を小さくする効果があります。

回路での対策

チャタリングによる不安定な信号を処理するために、CR積分回路（ローパスフィルタ）を使用することが一般的です。これにより、高速な信号の変化を平滑化し、ノイズを除去することができます。

しかし、中途半端な電圧状態は発振などの誤動作の原因となるため、シュミットトリガ回路を併用することがあります。また、遅延が許容できない場合には、双投スイッチとSRラッチを使用する方法もあります。

なお、リレーのサージ対策回路は、チャタリング対策とは目的が異なります。サージ対策は、リレーの電流を遮断する際に発生する高電圧を防ぐためのものであり、チャタリングとは別の問題に対処するものです。

ソフトウェア的な対策

ハードウェアではなく、ソフトウェアでチャタリング対策を行うことも可能です。具体的には、信号の状態が一定時間以上安定してから、初めて信号が切り替わったと判定する方法です。この方法は、ハードウェアに比べて柔軟性が高く、様々な状況に対応することができます。

また、チャタリングを自動修正するソフトウェアも配布されています。

信頼性の高い接点を使う

チャタリングを防ぐためには、接点の材質や構造に工夫を凝らしたスイッチを使用することも有効です。

例えば、リードスイッチは、信頼性が高くチャタリングが少ないスイッチとして知られています。キャッシュディスペンサーのテンキーやスロットマシンのスイッチなど、高い信頼性が求められる機器に使用されています。

また、水銀スイッチのように接点が衝突しない構造のスイッチを使用することも、チャタリング対策となります。

接点をなくす

最も根本的な対策としては、接点を使用しないスイッチを採用する方法があります。フォトインタラプタのような光センサーを利用したスイッチや、静電容量の変化を利用したスイッチなどがあります。

これらのスイッチは、接触による振動が発生しないため、チャタリングの影響を完全に排除することができます。フォトインタラプタは半導体リレーなどに、静電容量式スイッチは高級価格帯のキーボードなどに採用されています。

チャタリングは、様々な電子機器で発生しうる問題ですが、適切な対策を講じることで、その影響を最小限に抑えることができます。

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