チャッキラコ

神奈川県三浦市の伝統芸能「風流踊」（旧称：チャッキラコ）

毎年1月15日、神奈川県三浦市三崎の仲崎・花暮地区で、豊漁・豊作、そして商売繁盛を祈願する伝統芸能「風流踊」が奉納されます。かつては「チャッキラコ」として知られ、2009年にはユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、2022年には名称が変更されました。

この行事は、長さ約20cmの竹の両端に五色の紙と小さな鈴をつけた「チャッキラコ」と呼ばれる綾竹を使った踊りが特徴です。年配の女性たちが唄い、5歳から12歳ほどの少女たちが鮮やかな赤の晴れ着を身につけ、扇やチャッキラコを使って優雅に舞います。楽器は使われず、唄い手の音頭に合わせて踊る素朴ながらも力強い踊りは、見る者の心を掴みます。

演目は「初いせ」「ちゃっきらこ」「二本踊り」「よささ節」「鎌倉節」「お伊勢参り」の6曲からなり、これらを総称して「チャッキラコ」、そして現在は「風流踊」と呼んでいます。午前中は海南神社で神主によるお祓いを受けた後、家内安全や大漁祈願などを込めて神前に奉納されます。その後、衣装を神職風の装束に着替え、仲崎と花暮の龍神様の前でも奉納されます。午後からは、地域住民の家々を訪問し、子供たちの可愛らしい舞が地域全体を温かい雰囲気で包みます。

「チャッキラコ」の起源は定かではありませんが、江戸時代中頃には既に大漁祈願の踊りとして行われていたと伝えられています。海南神社の祭神、藤原資盈の奥方である盈渡姫が村娘に伝えたという伝説や、源頼朝が磯取りをしていた親子に踊りを所望したところ、娘が小竹を持って踊ったという伝説も残されています。これらの伝説からも、この踊りが長きに渡り人々に愛され、受け継がれてきたことが伺えます。

1964年には「ちゃっきらこ保存会」が結成され、地域住民の熱意によって大切に守り続けられてきました。現在も保存会の方々が中心となり、伝統を次世代へと伝承するため、後継者の育成にも力を入れています。素朴ながらも力強く、そして美しく華やかな「風流踊」は、日本の伝統文化の豊かさを象徴する貴重な芸能として、これからも人々を魅了し続けることでしょう。

アクセスは京急久里浜線三崎口駅から京急バスで「三崎港」下車、徒歩3分です。三崎の豊かな自然と歴史を感じながら、この貴重な伝統芸能をぜひ観賞してみてください。

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