風流踊

風流踊：日本の伝統芸能とユネスコ無形文化遺産

風流踊（ふりゅうおどり）は、室町時代から続く日本の伝統芸能です。鉦、太鼓、笛などの囃子音楽に合わせて、華やかな衣装をまとった人々が集団で踊る、力強い表現形式です。その起源は、疫神祭や念仏、田楽など、古くからの祭祀芸能に遡ると考えられています。

室町時代から江戸時代への変遷

風流踊は、室町時代に流行した「風流」という美意識を体現した芸能として発展しました。「風流」とは、独創的で人目を引く趣向を凝らすことを意味し、風流踊はその精神を反映した華麗な表現を特徴としていました。

応仁・文明の乱後の混乱期を経て、風流踊はさらに発展し、各地に広まりました。特に、慶長9年（1604年）の豊臣秀吉七回忌における豊国神社の風流踊は、『豊国祭礼図屏風』にも描かれ、その盛況が伺えます。

江戸時代に入ると、風流踊は、一回性、独創性を重視する初期の「風流」の精神を失い、固定化された形式として農村に定着するようになりました。武家好みの歌詞を持つ踊り歌が多く見られ、藩政時代には雨乞いの手段として奨励された地域もありました。

後世への影響と継承

多くの風流踊りは、時代の変遷とともに衰退し、継承が途絶えてしまいました。しかし、三重県伊賀地方など、現在でも伝統が受け継がれている地域もあります。

風流踊は、後世の様々な芸能や行事に大きな影響を与えました。念仏踊り、盆踊り、雨乞い踊り、虫送り、太鼓踊り、剣舞、神楽、仏舞、小歌踊り、など、現在の日本の伝統芸能や民俗行事の多くは、風流踊りの系譜を色濃く残しています。

ユネスコ無形文化遺産への登録

風流踊は、令和2年（2020年）に文化庁の文化審議会無形文化遺産部会でユネスコ無形文化遺産への提案候補に選定されました。そして、令和4年（2022年）11月30日、24都府県の41件の風流踊が正式にユネスコ無形文化遺産に登録されました。これは、日本の伝統芸能の継承と発展にとって大きな意義を持つ出来事でした。すでに登録済みの「チャッキラコ」と合わせての登録となったため、日本の登録件数は変化しませんでした。

まとめ

風流踊は、室町時代から現代まで続く、日本の伝統芸能です。華やかな衣装、力強い音楽、そして集団舞踊という、独特の魅力を持っています。その歴史、地域ごとの多様性、そして後世への影響は計り知れません。ユネスコ無形文化遺産への登録は、この貴重な文化遺産を未来へと繋いでいくための重要な一歩と言えるでしょう。風流踊の持つ力強さと美しさは、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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