チャド・ブラッドフォード

チャドウィック・リー・ブラッドフォード：異色のサブマリン投手

チャドウィック・リー・ブラッドフォード（Chadwick Lee Bradford, 1974年9月14日 - ）は、アメリカ合衆国ミシシッピ州ジャクソン出身の元プロ野球選手。独特なサブマリン投法を武器に、メジャーリーグで活躍しました。

生い立ちとサブマリン投法の誕生

1974年、ミシシッピ州ジャクソンで生まれたブラッドフォード。2歳の時に父親が脳卒中で倒れ、リハビリをする父とのキャッチボールが、彼の原点でした。7歳の頃、父親とのキャッチボールで、利き腕が肩より上に上がらないことに気づき、アンダースローで投げ返したことが、サブマリン投法誕生のきっかけとなりました。

地元の高校に進学しますが、監督からは怠け者と見なされ、なかなか試合に出場できませんでした。しかし、ハインズ・コミュニティ・カレッジに進学後、才能が開花。1996年にはホワイトソックスからドラフト指名を受け、プロの道へ進むことを決意します。

マイナーリーグでの苦悩と転機

しかし、マイナーリーグでは、大学で通用した球速140キロ弱のストレートが通用せず、苦しい日々を送ります。18歳で結婚し、子供も生まれたことから、大学を卒業すべきだったかと後悔することも。1998年のスプリングトレーニングでは、球団からクビを宣告されかけますが、今までよりも低い位置からボールを投げることで、球に切れが生まれ、打者を翻弄することに成功します。その後、2A、3Aと順調に昇格し、メジャー昇格への足がかりを掴みました。

3Aでは、本格的にサブマリン投法に取り組み始めます。球速は130～135キロ程度でしたが、打者にとっては打ちにくい球筋で、たちまち注目を集めました。

メジャーリーグでの活躍

1998年8月1日にメジャーデビューを果たし、シーズン終了までに32イニングを投げ、被本塁打0という記録を打ち立てました。しかし、球団からの評価は低く、1999年、2000年はシーズンの大半を3Aで過ごします。日本でのプレーを希望したこともあったようです。

そんな中、オークランド・アスレチックスのGM補佐ポール・デポデスタが、ブラッドフォードの才能に目をつけます。ビリー・ビーンGMにトレードでの獲得を勧め、2000年12月にアスレチックスへ移籍。中継ぎエースとしての活躍を期待されます。

2001年は背中の手術を受けましたが、復帰後は好成績を収め、2002年には「メジャー屈指の中継ぎ投手」と評されるほどになりました。シーズンを通して75試合に登板し、チームにとって欠かせない存在となります。

その後、ボストン・レッドソックス、ニューヨーク・メッツ、ボルチモア・オリオールズ、タンパベイ・レイズとチームを渡り歩き、2009年に現役を引退。引退後は、母校の高校やコミュニティ・カレッジでコーチを務め、後進の育成に尽力しました。

プレースタイル

ブラッドフォードは、196cmの長身から繰り出すサブマリン投法が特徴です。リリースポイントが地面すれすれであるため、投球時に地面で手を擦ることもあったといいます。デビュー当初はサイドスローでしたが、年々リリース位置を下げ、現在の投法となりました。晩年はストレートの球速が落ちましたが、制球力でカバーし、長く活躍しました。

データ野球の申し子

ブラッドフォードは、セイバーメトリクスの先駆者であるアスレチックスのビリー・ビーンGMに見出され、その才能を開花させました。彼の活躍は、データ分析の重要性を示す好例として、野球界に大きな影響を与えました。

まとめ

チャドウィック・ブラッドフォードは、決して恵まれた体格ではありませんでしたが、自身の特性を活かした投球術と、データ分析によって、メジャーリーグで確固たる地位を築きました。彼の野球人生は、努力と工夫次第で、どんな選手でも成功できるということを教えてくれます。

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