チャンブリ族

チャンブリ族

チャンブリ族（Chambli）は、南太平洋のパプアニューギニアに居住する少数民族の一つです。

居住地

彼らの主な居住地は、ニューギニア島を東西に流れるセピック川流域に位置しています。具体的には、セピック川の河口から約290キロメートル内陸に入った地点です。この地域には、セピック川に注ぎ込む二本の川が流れ、その合流地点近くにそびえるチャンブリ山の麓に広がる湖のほとりに、彼らの集落は点在しています。チャンブリ族は、まとまった大きな集落ではなく、比較的小規模な村落に分かれて生活を送っています。

村の構造には特徴があります。集落は、女性たちが集まるための家（女子の家）や、重要な儀式や集会が行われるための儀礼用の家など、いくつかの機能を持つ建物で構成されています。全ての家屋は、地面から湿気や害虫を避けるために、地面から高い位置に床が設けられた杭上式（高床式）となっています。特に儀礼用の家は神聖視されており、内部には古来より代々受け継がれてきた、儀式に用いられたと見られる頭蓋骨が納められ、飾られています。

生活と社会

チャンブリ族の生業の中心は、漁労と交易です。彼らは周辺の水域で魚を捕獲し、これを重要な資源としています。また、交易も活発に行っており、捕獲した魚や、貨幣として用いられる特定の貝殻と引き換えに、低地部に居住する他の民族からサゴヤシやサトウキビといった食料品や資源を入手しています。この交易で利用される貝殻貨幣としては、特に緑色の巻貝の殻が一般的なようです。

道具や技術については、歴史的な変遷が見られます。かつては石器が主な道具として使われていましたが、近年では外部との接触により鉄器が導入され、次第に鉄製の道具が使用されるようになってきています。

チャンブリ族の社会組織は、特徴的な構造を持っています。彼らは、それぞれ四つから五つの氏族によって構成される、二つの大きな系統に区分されています。これらの系統や氏族が、社会の秩序維持や共同体の活動において重要な役割を果たしていると考えられます。

文化

彼らが作り出す工芸品の中でも、特に土器は知られています。チャンブリ族の土器は、その表面に施される独自の彩色が特徴であり、文化的なアイデンティティを示す重要な要素の一つとなっています。

このように、チャンブリ族はセピック川流域の環境に適応した独自の生活様式、社会組織、そして文化を育んできました。彼らの文化に関する研究は、この地域の多様な民族の歴史や社会構造を理解する上で貴重な情報を提供しています。

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