チャート (岩石)

チャート：硬く美しい堆積岩

チャートは、堆積岩の一種であり、その主成分は二酸化ケイ素（SiO₂、石英）です。この岩石は、主に放散虫や海綿動物といった生物の殻や骨片（微化石）が海底に長期間堆積し、固結することで形成されます。ただし、無生物起源のチャートも存在するという説もあります。

顕微鏡下でチャートの断面を観察すると、放散虫の殻が小さな点として見える場合もあります。この特徴は、チャートが生物起源であることを示す重要な手がかりの一つです。

チャートは非常に硬い岩石として知られており、釘などで擦ってもほとんど傷がつきません。その硬度は、構成鉱物である石英の高硬度によると考えられています。地層を構成する岩石として、しばしば層状構造を示します。

色とりどりのチャート

チャートは、その色合いにおいて多様性に富んでいます。褐色、赤色、緑色、淡緑灰色、淡青灰色、灰色、黒色など、実に様々な色のチャートが存在します。

これらの色の違いは、チャート中に含まれる微量な不純物に由来します。例えば、暖色系の赤や褐色は、微細な酸化鉄鉱物（赤鉄鉱など）の存在によって生じます。一方、暗色系の灰色や黒色は、硫化鉄（主に黄鉄鉱）や炭素化合物（石墨、不定形炭素、有機物など）によるものです。また、緑色のチャートは、二価の鉄を含む緑色の粘土鉱物を含むためです。

チャートの色は、堆積当時の環境条件を反映していると考えられています。堆積環境の違いによって、含まれる不純物の種類や量も変化し、多様な色合いのチャートが形成されたと考えられています。

名称について

チャートは、かつて「角岩」や「珪岩」と呼ばれた時期もありました。しかし、「角岩」は定義が曖昧で、示す岩石が異なるため、現在ではほとんど使われていません。「珪岩」は、現在では熱変成作用を受けた珪質岩を指す用語として用いられています。これらの混乱を避けるため、現在では「チャート」が正式名称として広く用いられています。

チャートの性質と特徴をまとめると

主成分: 二酸化ケイ素（SiO₂）
起源: 放散虫などの微化石の堆積
硬度: 非常に硬い
色: 褐色、赤色、緑色、灰色、黒色など多様
* 構造: 層状構造を示すことが多い

チャートは、その硬さと美しい色合いから、古くから様々な用途に利用されてきました。現在でも、研磨材や装飾品などに用いられることがあります。また、地質学的な研究においても、重要な岩石標本として扱われています。

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