珪岩

珪岩：熱と圧力によって生まれた堅牢な岩石

珪岩は、チャートや珪質砂岩が地熱や地圧といった地質学的過程において、高い温度と圧力を受けることで変成作用を起こし生成される変成岩の一種です。元となる岩石に豊富に含まれる石英（二酸化ケイ素、SiO₂）が再結晶化することで、より緻密で硬い構造へと変化します。この再結晶化は、石英粒子の大きさを増大させ、岩石全体に強度と耐久性をもたらす要因となっています。

珪岩の生成過程においては、接触変成作用が重要な役割を果たします。これは、マグマなどの高温体が既存の岩石に接触することで、熱が伝わり変成作用が引き起こされる現象です。この過程で、元の岩石の組織や構造は大きく変化し、新たな鉱物集合体である珪岩が形成されます。場合によっては、ホルンフェルスという変成岩の一種に分類されることもあります。ホルンフェルスは、接触変成作用によって形成された広範な変成岩の総称であり、珪岩はその中のひとつとして位置づけられます。

かつては、未変成のチャート（堆積岩の一種）を表す言葉としても珪岩が使われていた歴史があります。しかし、現在の地質学においては、珪岩は明確に接触変成作用を受けた変成岩として定義されています。これは、チャートとの明確な区別を必要とするためです。チャートは、主に生物遺骸に由来する微小な石英粒子からなる堆積岩であり、珪岩とは生成過程と組織構造が大きく異なります。

珪岩は、その堅牢性から、建築材料や研磨材として古くから利用されてきました。また、地質学的研究においては、地殻変動の歴史や、過去の地質環境を解明する上で重要な手がかりとなります。珪岩の組織や鉱物組成を分析することで、形成時の温度や圧力、そして元の岩石の種類などを推定することができます。

珪岩の主な特徴

高い硬度と強度: 再結晶した石英によって、非常に硬く、耐久性のある岩石です。
緻密な組織: 石英粒子が緻密に結合しており、空隙が少ないのが特徴です。
様々な色: 通常は白色や灰色ですが、不純物によってピンク色や赤色、黒色などを呈する場合もあります。
割れやすい性質: 緻密な一方で、特定の方向に沿って割れやすい性質も持ち合わせています。

関連する岩石

珪岩は、その生成過程から、チャートや珪質砂岩と密接に関連しています。また、接触変成作用によって生成されることから、ホルンフェルスなどの変成岩とも関連が深いです。

参考文献

黒田吉益・諏訪兼位　『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』　共立出版、1983年
益富壽之助　『原色岩石図鑑 全改訂新版』　保育社、1987年

これらの文献は、珪岩の性質、生成過程、関連する岩石などについて、より詳細な情報を提供しています。興味のある方は、これらの文献を参照することをお勧めします。

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