チャーリー・O・フィンリー

チャールズ・O・フィンリー：球界に革命を起こした異端のオーナー

チャールズ・オスカー・フィンリー（Charles Oscar Finley, 1918年2月22日 - 1996年2月19日）は、MLBのオークランド・アスレチックスのオーナーとして、その革新的なアイデアと型破りな経営手腕で球界に大きな足跡を残しました。

生い立ちとオーナー就任

アラバマ州出身のフィンリーは、元々セミプロの野球選手でしたが、結核を患い28歳で引退。その後、保険業で成功を収めました。1954年にはフィラデルフィア・アスレチックスの買収を試みましたが、既にアーノルド・ジョンソンへの売却が決まっていたため断念。しかし、1960年12月19日、念願叶ってアスレチックスのオーナーとなり、その手腕を発揮し始めます。

革新的なアイデアと球界への貢献

フィンリーは、オーナー就任後すぐにフランチャイズの移転を計画し、マイナー組織への積極的な投資も行いました。また、1963年にはカラーテレビ時代に対応し、それまでの常識を覆す黄色（金色）のユニフォームを採用。1972年にはグリーンのユニフォームも導入し、球界に新たな風を吹き込みました。

1964年には、オレンジ色のボールの使用を提案。これは、打球がより見やすくなるという理由からでしたが、当初は否決されました。しかし、翌年アストロドームで昼間の試合が行われるようになると、オレンジ色のボールの視認性の高さが認められ、昼間の試合限定で使用が許可されました。

フィンリーは、観客を楽しませるための奇抜なアイデアを次々と実行しました。ミスUSAをバットボーイに採用しようとしたり、ロバをマスコットとして試合前に選手を乗せて歩かせたり、本拠地球場の右翼席後方に動物園を作ったりと、その発想は常に周囲を驚かせました。

指名打者制度の導入とチームの黄金時代

投手の打力の低さを問題視していたフィンリーは、1970年代に入ると指名打者（DH）制の導入を強く訴えました。その結果、1973年からアリーグでDH制が採用され、試合の短縮と打撃の向上が図られました。

また、フィンリーは試合時間短縮のため、三振ではなく「二振」でアウト、四球ではなく「三球」で出塁というルールを提案し、オープン戦で採用しましたが、試合時間が長くなるという結果になったため、採用は見送られました。さらに、選手に口ひげを伸ばすことを奨励し、レジー・ジャクソンやキャットフィッシュ・ハンターといった主力選手が髭を蓄え、チームのイメージアップに貢献しました。

フィンリーがオーナーを務めたアスレチックスは、1972年から1974年にかけてワールドシリーズ3連覇を達成し、黄金時代を築きました。

チームの衰退と売却

しかし、選手の年俸が高騰すると、フィンリーは主力選手を次々と放出。1978年にはヴァイダ・ブルーをシンシナティ・レッズに移籍させようとしましたが、コミッショナーによって無効とされました。

チームは低迷し、観客動員も減少。1980年には離婚調停でチームの権利の一部を譲ることを拒否されたため、チームの売却を余儀なくされました。1981年のスプリングトレーニング前に、チームの売却が決定しました。

遺産

チャールズ・O・フィンリーは、その革新的なアイデアと大胆な行動力で、球界に大きな影響を与えました。彼の奇抜なアイデアは時に物議を醸しましたが、常にファンを楽しませることを追求し、野球というスポーツのエンターテイメント性を高めることに貢献しました。

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