チャールズ・スワン三世の頭ン中

チャールズ・スワン三世の頭ン中

概要

『チャールズ・スワン三世の頭ン中』（原題：A Glimpse Inside the Mind of Charles Swan III）は、2012年に製作されたアメリカ合衆国のコメディ映画です。ロマン・コッポラが監督を務め、主演にはチャーリー・シーンが起用されました。本作は、彼自身のパブリックイメージとも重なるような、1970年代のプレイボーイ的なセレブリティを演じるカルト的な雰囲気を纏った作品として知られています。また、現在は著名な映画配給会社であるA24が、初めて配給を担当した作品としても映画史にその名を刻んでいます。

ストーリー

物語の舞台は、1970年代のきらびやかなカリフォルニア。主人公のチャールズ・スワン3世は、時代の寵児とも言える成功したグラフィックデザイナーでありながら、多くの女性と関係を持つプレイボーイでもありました。しかし、彼は長年の恋人である女優のイヴァナから突然別れを告げられたことを機に、深い失意のどん底に突き落とされます。

恋人を失った衝撃から自暴自棄となったチャールズは、現実から逃避するように荒唐無稽な妄想の世界に没頭していきます。同時に、彼の経営するデザイン会社の経営も傾き始め、ビジネスパートナーや友人たちは彼の状況を案じ、会社の立て直しという現実的な問題にも直面させようとします。しかし、チャールズは現実と非現実の境界線があいまいになる中で、自らの内面世界に引きこもりがちになります。

映画は、このチャールズの精神状態を中心に描かれ、彼の失意や混乱、そしてそこから生まれるバカバカしくも奇妙な妄想が、独特の映像表現で繰り広げられます。彼の周囲には、親友であるミュージシャン、ビジネスを支えるマネージャー、心配する妹、そして有能なアシスタントなど、個性的な人々が集まり、彼を支えようと奮闘します。

キャスト

主要なキャストは以下の通りです。

チャールズ・スワン3世：チャーリー・シーン
成功したグラフィックデザイナー。妄想癖があり、失恋から立ち直れない。
カービー・スター：ジェイソン・シュワルツマン
チャールズの親友でミュージシャン。彼を支えようとする。
サウル：ビル・マーレイ
チャールズのマネージャー。自身の家庭問題も抱えている。
イヴァナ：キャサリン・ウィニック
チャールズの元恋人である女優。
イジー：パトリシア・アークエット
チャールズの妹で作家。既婚者で子供がいる。
マーニー：オーブリー・プラザ
チャールズの優秀なアシスタント。
ケイト：メアリー・エリザベス・ウィンステッド
医師：ダーモット・マローニー
* サンチェス：リチャード・エドソン

評価

本作は、批評家からの評価が概して厳しいものでした。映画批評サイトRotten Tomatoesによれば、56件のレビューのうち肯定的な評価はわずか16%に留まり、平均点は10点満点中3.50点でした。批評家たちの総意としては、「観ていて疲れるほど独りよがりで、物語としてのまとまりに欠けており、深く考えるべき内容がほとんどない」といった意見が多数を占めました。

Metacriticでも、22件のレビューに基づくメタスコアは100点満点中28点という低い評価でした。内訳は高評価が2件、賛否混在が8件、低評価が12件となっており、多くの批評家が本作に対して否定的な見解を示しました。

公開

本作は、2012年11月15日にローマ国際映画祭でワールドプレミア上映が行われました。アメリカ合衆国では、2013年2月8日に限定公開されました。日本では劇場公開はされませんでしたが、2013年12月8日にWOWOWで放送される形で紹介されました。

映画の評価は分かれていますが、ロマン・コッポラの独特な映像世界や、チャーリー・シーン、ビル・マーレイといった個性的なキャストによる演技、そしてA24の黎明期を飾った作品として、一部には根強い支持を持つ作品です。

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