チャールズ・ダニエルズ (競泳選手)

チャールズ・ダニエルズ：アメリカ水泳界のパイオニア

チャールズ・メルドラム・ダニエルズ（Charles Meldrum Daniels, 1885年3月21日 - 1973年8月9日）は、アメリカ合衆国を代表する競泳選手として、その名を歴史に刻みました。オリンピックでは、金メダル4個（非公式大会を含むと5個）を含む、合計7個（同8個）のメダルを獲得しました。

ダニエルズは、アメリカ水泳界における最初の偉大なスイマーであると同時に、アメリカのスポーツ界の発展に大きく貢献した人物としても知られています。彼が当時主流であったオーストラリアン・クロールを改良し、6ビートの新しい泳法「アメリカン・クロール」を編み出したことは、特筆すべき功績です。また、全米体育協会（AAU）主催の大会で31もの個人記録を樹立し、自由形25ヤードから1マイルまでの全距離で世界記録を塗り替えました。

多才なアスリート

ダニエルズは水泳だけでなく、多岐にわたるスポーツで才能を発揮しました。少年時代にはスモール・ボア・ライフルのジュニアチャンピオンに輝き、ニューヨーク・アスレチッククラブではスカッシュのチャンピオンにもなりました。晩年には、アマチュアゴルフのトップ選手として活躍するなど、その運動能力の高さを示しました。

生い立ち

弁護士の父トーマスと、被服商の娘である母アリスの間に生まれたダニエルズ。幼い頃に弟を亡くしています。一家がいつニューヨークへ引っ越したかは定かではありませんが、ドゥワイト高校に進学した彼は、陸上競技（1マイル走、高跳び）の選手として活躍し、バスケットボールチームではキャプテンを務めました。この頃から、ニューヨーク・アスレチッククラブに通い始め、水泳に興味を持つようになったと言われています。

競泳選手としての道のり

ダニエルズが競泳選手を目指すきっかけとなったエピソードは、孫娘に語り聞かせていたそうです。ニューヨークで開催された100ヤード競技のタイムを聞き、自身も挑戦できるのではないかと考えた彼は、ニューヨーク州東部のアディロンダック山中に100ヤードのコースを手作りし、タイムを計測しました。そのタイムが優勝タイムに匹敵することを知り、ニューヨーク・アスレチッククラブの大会に出場しますが、イェール大学水泳部のキャプテンに惨敗してしまいます。その後、手作りのコースが実際には90ヤードしかなかったことが判明。コースを作り直し、猛練習を重ねることで、タイムを大幅に縮めることに成功しました。

引退とその後

1911年、26歳で現役を引退するまでに、ダニエルズは国内選手権で53回優勝し、競泳競技で合計314勝を挙げるという偉業を達成しました。引退から60年後のインタビューで彼は、「現在の記録は当時自分が打ち立てたものよりも大幅に短縮されているが、当時のトレーニング環境とは大きく異なることを理解してほしい」と語っています。当時の選手たちは、肩紐と膝まで覆う全身水着を着用し、海や川で開催される大会では、天候に大きく左右されるという厳しい条件の中で競い合っていました。

1909年には、AAUから年間最優秀アスリートに選出。アメリカ合衆国オリンピック殿堂、国際水泳殿堂（ISHOF）、ヘルムズ財団殿堂にも名を連ねています。

チャールズ・ダニエルズは、その輝かしい実績とスポーツ界への貢献により、今もなお多くの人々に敬愛されています。

チャールズ・ダニエルズ - オリンピックチャンネル
チャールズ・ダニエルズ - Olympedia (英語)
チャールズ・ダニエルズ - Sports-Reference.com (Olympics) のアーカイブ (英語)
チャールズ・ダニエルズ - 国際水泳殿堂 (英語).html)

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