チャールズ・ハワード (初代ノッティンガム伯爵)

チャールズ・ハワード：イングランドを支えた海軍卿の生涯

チャールズ・ハワード（1536年 - 1624年）は、初代ノッティンガム伯爵として知られ、イングランドの歴史において重要な役割を果たした人物です。彼は貴族、政治家、そして卓越した海軍軍人として、16世紀後半から17世紀初頭にかけての激動の時代を生き抜き、国家に大きく貢献しました。

生い立ちと初期のキャリア

1536年、チャールズ・ハワードは、ノーフォーク公トマス・ハワードの息子ウィリアム・ハワードを父として生まれました。彼の家系はエリザベス1世と繋がりがあり、幼少の頃から王室との関係を築きました。1559年にはフランス国王即位の祝賀大使を務め、1569年の北部諸侯の乱では騎兵隊の司令官として活躍するなど、早い段階から政治的な才能を発揮しました。

1573年、父の死によりハワード男爵位を継承し、1574年にはガーター騎士団ナイトに叙任されました。これらの出来事は、彼が着実に社会的な地位を確立していったことを示しています。

海軍卿としての功績

1585年、チャールズ・ハワードは海軍卿に就任し、その手腕を遺憾なく発揮します。彼は船乗りからの信頼も厚く、その慎重かつ勇敢な性格は多くの人々に慕われました。1588年のアルマダの海戦では、海軍総司令官としてフランシス・ドレークと共にスペイン無敵艦隊を打ち破るという、歴史的な勝利を収めました。この戦いで彼は、従来の海戦の常識を覆す大型船での火船戦術を採用し、スペイン艦隊に大打撃を与えました。

しかし、海戦後には政府が海軍軍人への恩賞を渋り、給料の支払いも滞るという事態が発生しました。ハワード卿はこれに激怒し、エリザベス1世や宰相に強く抗議しました。彼は私財を投じて水兵たちを救済するなど、部下への深い愛情と責任感を示しました。

1596年のカディス攻撃でも、エセックス伯ロバート・デヴァルーと共に司令官を務め、スペイン船を多数破壊し、都市を占領するなどの戦果を挙げました。これらの功績により、同年ノッティンガム伯爵位を授与されました。

宮廷での役割と晩年

エリザベス1世の宮廷内では、和平派と戦争続行派が対立していましたが、ノッティンガム伯は和平派に属していました。彼は宮廷内の紛争を調停し、エセックス伯のクーデター計画を阻止するなど、政治的な手腕も発揮しました。また、演劇界のパトロンとしても知られ、海軍大臣一座を支援し、ロンドンの演劇文化の発展に貢献しました。

1603年にエリザベス1世が崩御し、ジェームズ1世が即位した後も、彼は海軍卿の地位を維持しましたが、晩年は老齢のため指導力が衰え、海軍の汚職を食い止めることができませんでした。そのため、バッキンガム侯ジョージ・ヴィリアーズによって弾劾され、辞職を余儀なくされました。1624年12月14日、チャールズ・ハワードは波瀾万丈の生涯を終えました。

家族と爵位

チャールズ・ハワードは二度結婚し、多くの子を儲けました。最初の妻キャサリン・ケアリーとの間には、ウィリアム、チャールズなど2男4女がいました。二番目の妻マーガレット・ステュワートとの間には、チャールズなど1男1女がいました。彼の死後、爵位は息子たちに引き継がれましたが、1681年に3代目が死去したことで、ノッティンガム伯爵位は断絶しました。

チャールズ・ハワードは、イングランドの歴史において重要な役割を果たした人物であり、彼の功績は今日でも高く評価されています。

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