チュウガタスジシマドジョウ

チュウガタスジシマドジョウについて

概要

チュウガタスジシマドジョウ（中型條縞泥鰌、学名：Cobitis striata striata）は、日本特有のシマドジョウの一種です。かつてはスジシマドジョウの中型種瀬戸内型とも呼ばれており、特に香川県高松市がその原産地とされていますが、現在はタイプ標本が行方不明の状態です。また、この魚にはタテジマドジョウという別名もあります。

分布

チュウガタスジシマドジョウは主に本州の瀬戸内海流入の河川に分布しています。具体的には、和歌山県の北部、奈良県北西部、京都府南部、大阪府、兵庫県南部、岡山県南部、広島県、山口県南東部などが含まれます。また、日本海流入河川の一部、島根県中部や京都府にも生息しています。さらに、四国の瀬戸内海流入河川には、愛媛県や徳島県、香川県などの地域があり、九州の長狭川水系や城井川水系でも見られることがありますが、大分県内ではすでに絶滅した可能性があるとされています。

形態

この魚は全長が6〜9cmで、体の特徴としては第2口髭が眼径と同じくらいの長さを持っています。骨質の盤は円形で、尾鰭には2〜4列の明瞭な弓状の模様があります。また、胸鰭の第1分枝軟条上片は細く、体側には3〜5列の横帯が見られ、時には点列として変化することもあります。特に繁殖期のオスは、体がより太くはっきりとした模様を持つようになります。また、卵黄径は約1.0mmで、尾鰭には黒点が明瞭に存在しています。

生態

チュウガタスジシマドジョウは、河川の中流や下流、農業用水路などに生息します。特に岸部に植生があり、流れが緩やかな砂泥底の場所を好む傾向があります。繁殖期は毎年5月から7月頃であり、この時期には水温が高い河川敷の湿地や小溝に移動して、夜間に産卵を行います。一般的には2年以上生きるとされ、食性はデトリタスや底生の小動物などを中心としています。

地方名

この魚には地域ごとに異なる呼称が存在します。例えば、岡山県ではヤナギドジョウやスナドジョウと混称され、山口県ではスナムグリと呼ばれています。四国地方では、ササドジョウやカワドジョウといった混称もあります。

保全状況

チュウガタスジシマドジョウは、河川の改修によって生息環境である砂底が減少したり、産卵場所が消失・移動しにくくなることで、個体数が減少しています。そのため、絶滅危惧II類に指定され、環境省レッドリストにおいても注意が必要な種とされています。

関連項目

この種はシマドジョウ属に属し、同じく日本に生息するナミスジシマドジョウ、オンガスジシマドジョウ、ハカタスジシマドジョウなどの種と関連があります。これらの情報は、自然保護や生態系の理解を深めるために重要です。

もう一度検索