チュニジア侵攻

チュニジア侵攻：フランスによる保護国化の経緯

19世紀、地中海沿岸地域はオスマン帝国の影響力が低下し、ヨーロッパ列強が勢力争いを繰り広げる舞台となっていました。その中で、フランスは1830年のアルジェリア侵略を皮切りに、北アフリカへの進出を本格化させます。このアルジェリア侵略は、チュニジアにとっても大きな脅威となり、フランスの勢力拡大は明白でした。

チュニジアは、形式的にはオスマン帝国の支配下にあるものの、フサイン朝による独立的な統治が行われていました。しかし、列強の思惑が交錯する中、チュニジアは自国の命運を左右される岐路に立たされることになります。

近代化政策と列強の思惑

1873年、ハイルディーン・パシャが宰相に就任すると、チュニジアは近代化政策を積極的に推進します。彼は列強との均衡外交を展開し、独立を維持しようと努めました。しかし、1877年に保守派によるクーデターが起こり、ハイルディーン・パシャは失脚。これにより、列強はチュニジアに対する自由裁量権を主張し始め、特にフランスとイタリアがその権利を認め合うことになります。その後、イタリアはフランスに譲歩することになります。

フランスの侵攻とバルドー条約

1881年、フランス軍はチュニジアへの侵攻を決定し、実行に移します。同年5月12日には、チュニジアの財政と外交権をフランスに譲渡させる「バルドー条約」を締結。これにより、チュニジアは事実上フランスの保護国となりました。この条約締結後、チュニジア国内では激しい反フランス運動が起こりますが、フランス軍によって鎮圧されました。

1882年、イタリアはドイツ、オーストリア＝ハンガリー帝国と同盟を結び、三国同盟を成立させます。これは、フランスのチュニジア支配に対する牽制の意味合いもありました。

マルサ協定とフランス保護領チュニジア

1883年6月、「マルサ協定」が締結され、チュニジアは正式にフランスの保護国、フランス保護領チュニジア（1881年 - 1956年）となりました。これにより、チュニジアは政治、経済、文化などあらゆる面でフランスの影響下に置かれることになります。

チュニジア侵攻は、19世紀の帝国主義時代におけるヨーロッパ列強の植民地獲得競争の一環であり、チュニジアの歴史に大きな転換点をもたらしました。この出来事は、その後のチュニジアの政治、社会、文化に深い影響を与え、独立後もその爪痕を残すことになります。

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