チューリッヒ工科大学

チューリッヒ工科大学（ETH Zurich）

チューリッヒ工科大学、通称ETH Zurichは、スイスのチューリッヒに位置する国立大学で、1855年に設立されました。スイスの最高の工科大学とされ、QS世界大学ランキングでは2024年、2025年ともに世界第7位、THE世界大学ランキングでは2023、2024年ともに世界第11位にランクインしています。これらのランキングにおいて、非英語圏の大学としてはトップの位置にあります。また、Nature Indexに基づく研究機関の質の高い論文ランキングでも2019年に世界第13位と評価されています。

ETHは、実に22名のノーベル賞受賞者、2名のフィールズ賞受賞者、3名のプリツカー賞受賞者、1名のチューリング賞受賞者を輩出しており、この大学が持つ教育の質の高さを証明しています。海外からの留学生も多く、約120カ国から2万1000人以上の学生が在籍し、国際的な環境が整っています。学費は年間約1380スイスフラン（約14万円）と、スイス国内の他の高等教育機関に比較しても低く抑えられており、これはスイスの国際競争力向上のために優秀な人材を積極的に誘致する戦略の一環と考えられます。

ETHは多様な専門分野を持ち、建築学、土木工学、機械工学、化学、林業など多岐にわたる学科を提供しています。特に数学、自然科学、社会学、文学、政治学などを統合した多目的学科も設置されており、これらの分野で様々な才能が育成されています。著名な元学生にはアルベルト・アインシュタインやヴィルヘルム・レントゲンが含まれ、彼らの業績は今なお多くの人々に影響を与えています。

ETHの略称はドイツ語の名称Eidgenössische Technische Hochschule Zürichから来ており、当地では一般的に「ポリ」（Eidgenössisches Polytechnikumに基づく）や「ETH」と呼ばれています。ETHは、スイス連邦政府が設立した国立の教育機関であり、現在もその直轄組織として機能しています。

大学の歴史は1854年に遡り、設立当初は建築学系、都市工学系、機械工学系、化学系、林業学系、そして多目的学系の6つの学系から成っていました。1909年には大学としての教育課程に再構成され、1911年には現在の名称に改称されました。以降、学系の数が増加し、現在では16学系を持つ大学へと発展しました。ETHの教育は世界のトップレベルに位置し、特に自然科学や工学分野では非常に高い評価を得ています。

ETHにはキャンパスが2つあり、チューリッヒ市街と郊外のヘンガーベルクに広がっています。市街地の中心には大学本部があり、ヘンガーベルクキャンパスには物質科学や工学関連の建物が集まり、学生たちの学びの場となっています。また、ETHの学生生活は充実しており、100以上の学生組合が様々なイベントを企画し、学術スポーツ組合も活発に活動しています。「SOLA-Stafette」などの大規模な駅伝大会への参加も盛況で、多くの学生がコミュニティを通じて交流を深めています。

全体として、ETH Zurichは教育、研究、革新の場として、また国際的に認知された学術機関として、学生や研究者にとって貴重な資源となっています。

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