QS世界大学ランキング

QS世界大学ランキング：世界大学評価の現状と課題

QS世界大学ランキングは、イギリスの高等教育評価機関であるQuacquarelli Symonds社（QS）が毎年9月に発表する、世界的に影響力を持つ大学ランキングです。かつてはTimes Higher Education（THE）誌と共同でランキングを発表していましたが、現在はそれぞれ独自の方法論に基づいてランキングを作成しています。

ランキングの概要と構成

QS世界大学ランキングは、世界総合ランキングに加え、48の異なる科目と5つの複合分野の研究を対象とした科目別ランキング、そしてアジア、ラテンアメリカ、新興ヨーロッパと中央アジア、アラブ地域、BRICSといった5つの地域別ランキングで構成されています。国際ランキング専門家グループの承認も受けており、THE世界[[大学ランキング]]、世界[[大学学術ランキング]]と並び、世界で最も広く参照される大学ランキングの1つとして認識されています。Alexaインターネットのデータによると、世界で最も閲覧されている大学ランキングでもあります。

ランキングの沿革と方法論

2003年のイギリス政府による大学と産業界連携に関するレビューを受け、世界の大学を評価するランキングの必要性が指摘されました。その後、THE誌との連携を経て、2009年にQSは独自のランキングを発表するようになりました。THEがトムソン・ロイターと提携して新たなランキングを作成したのに対し、QSは既存の方法論を維持し、独自のランキングを構築しました。

QSランキングは、大学の教育、研究、雇用機会、国際性の4つの主要な側面を評価します。その方法論は、以下の指標から構成されています。

学術査読 (40%): 世界中の現役学者を対象としたアンケート調査で、各専門分野における上位大学を尋ねています。2017年度のランキングでは、140カ国以上から75,000件以上の回答が得られました。
教員・学生比率 (20%): 教員1人当たりの学生数を指標として、教育の質を間接的に評価します。
論文被引用数 (20%): Elsevier社のScopusデータベースを用いて、過去5年間の論文被引用数を大学ごとの教員数で割った値を指標としています。この指標については、自然科学や医学分野に偏っているとの批判もあります。2015年以降は、学部分野の正規化が導入され、各学部分野の被引用数を調整することでこの問題への対処を試みています。
雇用者の評判 (10%): 世界規模または国家規模で卒業生を採用する企業の採用担当者を対象としたアンケート調査です。
国際性 (10%): 留学生比率や教員の国際性などを考慮した指標です。

ランキングに対する評価と批判

QS世界大学ランキングは高い注目を集めていますが、同時に様々な批判も受けてきました。

学術査読への過度な依存: ランキングの40%を占める学術査読に偏りすぎているという指摘があります。また、査読方法の透明性や公平性についても疑問視する声があります。
指標の偏り: 論文被引用数などは、自然科学や医学分野に有利に働く傾向があるため、人文科学や社会科学分野の大学が不利になるという批判があります。
主観的な指標への依存: 評判調査に大きく依存しているため、客観性に欠けるという批判があります。
データの信頼性: データ収集方法やサンプルの偏りなどが問題視されています。

一方、QS側は、膨大な数の回答者から得られたデータの信頼性を主張し、データ操作は困難であると反論しています。また、方法論の改善も継続的に行われています。

その他のランキング

QSでは、世界大学ランキング以外にも、以下のランキングを発表しています。

QS創立50年未満大学ランキング: 設立から50年未満の大学を対象としたランキング
QS世界大学科目別ランキング: 48の異なる科目を対象としたランキング
QS世界大学就職ランキング: 就職率や就職実績などを評価したランキング
地域別ランキング: アジア、ラテンアメリカ、新興ヨーロッパ・中央アジア、アラブ地域、BRICSといった地域別に大学をランキング
QS学生都市ランキング: 学生にとって魅力的な都市をランキング

まとめ

QS世界大学ランキングは、世界的な影響力を持つ大学ランキングですが、その方法論や信頼性については様々な議論があります。ランキングを利用する際には、その限界や批判点を理解した上で、総合的な判断を行うことが重要です。大学自身も、ランキング結果に一喜一憂するだけでなく、教育・研究活動の質向上に真摯に取り組むことが求められます。

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