チョウマメ

チョウマメ（バタフライピー）について

チョウマメ（学名：Clitoria ternatea）は、マメ科クリトリア属に属する多年生のつる性植物です。日本では一年草として扱われることが多いですが、本来は多年草です。タイでは「アンチャン」、英語圏では「バタフライピー」と呼ばれています。

特徴

チョウマメは、鮮やかな青色の花を咲かせるのが特徴です。この青色は、花に含まれるテルナチンという色素によるものです。テルナチンは、デルフィニジン系色素の一種で、アントシアニンの一種です。花びらの絞り汁は、古くから食品の着色料として利用されてきました。また、バタフライピー抽出液にライムやレモンを加えると、紫色に変化する性質も持っています。

色素

バタフライピーの青色は、テルナチンというアントシアニンによるものです。テルナチンは、他のアントシアニンに比べて非常に安定性が高いのが特徴です。その理由は、水溶液中でテルナチンの側鎖が折りたたまれ、側鎖のクマル酸とアグリコンであるデルフィジン母核部分が疎水性相互作用により重なり合うことで、2位の炭素が水和されることを防いでいるためです。クマル酸が多いほど安定性が高いことが知られています。

また、バタフライピーの色はpHによって変化し、酸性ではピンク色、中性では青色、アルカリ性では黄色に変化します。これは、テルナチンがpHの変化に応じて可逆的に構造を変えるためです。テルナチンのアグリコンであるデルフィニジンは、アントシアニジンの中でもっとも青色に近い色合いであることも、テルナチンの鮮やかな青色に寄与していると考えられます。

テルナチンの安定性を高める要因としては、ポリアシル化、他のフラボノイドや金属イオンとの錯体形成、糖の添加による水分子の振動抑制、カテキンとの分子間コピグメンテーションなどが挙げられます。

東洋インキ製造株式会社（現トーヨーケム株式会社）の実験によると、バタフライピーの花弁から抽出した色素は、耐光性試験や耐熱性試験において、他の市販のアントシアニン色素よりも高い安定性を示しました。

テルナチンの抽出条件

テルナチンを効率的に抽出するための条件は以下の通りです。

溶媒: 水、アルコール、またはそれらの混合物（アルコール100%は抽出負荷が高い）。
溶媒温度: 80℃（アルコールを含む場合は77℃以下）。
抽出時間: 60分（60分以下では抽出が不十分、60分以上ではテルナチンが劣化）。
抽出溶媒の比率: 1gの固形分に対して20mlの溶媒を使用。

日本アドバンストアグリ株式会社のバタフライピーエキスパウダーも、耐熱性試験や耐光性試験で高い安定性を示しています。

利用方法

チョウマメの花は、お茶やデザートの着色料として利用されています。また、葉は飼料として、未熟豆は食用として利用されることもあります。花の部分（特に青く染まりやすい部分）は、基本的には食べても問題ありません。

まとめ

チョウマメは、鮮やかな青色の花と、テルナチンという安定性の高い色素を持つ魅力的な植物です。その美しい色合いと、多様な利用法から、世界中で親しまれています。

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