チョサイア・ライスンゲ

チョサイア・ライスンゲ（Josaia Raisuqe, 1994年 7月22日 - 2025年 5月8日）は、フィジー出身のプロフェッショナルラグビーユニオン選手です。主にウィング（WTB）としてプレーし、フランスの最高峰リーグであるトップ14で活躍しました。そのパワフルなランとスピードは多くのファンを魅了しましたが、30歳という若さで不慮の事故により亡くなりました。

プロフィールと初期キャリア

ライスンゲ氏は、フィジーのナイタシリ地方で生を受けました。恵まれた体格を持ち、身長は190cm、体重は91kgというアスリート体型でした。フィジーでラグビー選手としてのキャリアをスタートさせた後、国際的な舞台である7人制ラグビーにおいてもその才能を発揮します。フィジーは7人制ラグビーの強豪国として知られており、ライスンゲ氏も同国の代表チームに選出される経験を持ちました。

彼のキャリアにおける特筆すべき出来事の一つが、2024年にフランスのパリで開催された夏季オリンピックです。彼は7人制フィジー代表チームの一員としてこの大会に出場し、チームは見事に決勝へ進出。激闘の末、銀メダルを獲得しました。オリンピックでのメダル獲得は、彼の選手生活における最大の功績の一つと言えるでしょう。

フランスでのクラブキャリア

ライスンゲ氏は、プロ選手としてフランスへと渡り、キャリアを積みました。まず最初に所属したのは、フランス屈指の名門クラブであるスタッド・フランセ・パリです。ここでフランスラグビーの環境に慣れ、経験を重ねました。

その後、2017年にはプロD2（フランス2部リーグ）のUSONヌヴェールへ移籍します。ヌヴェールでは中心選手として活躍し、チームに貢献しました。しかし、ヌヴェール在籍時の2021年1月には、試合後に審判員を持ち上げるという異例の行為に及び、フランスラグビー連盟から5週間の出場停止処分を受けました。この出来事は、彼の情熱的で時に制御不能な一面を示すものとして、当時大きな話題となりました。

2021年9月には、満を持してフランスのトップリーグであるトップ14の強豪、カストル・オランピックへの移籍を果たします。トップリーグでのプレーは、彼の能力がフランスラグビー界で高く評価されていたことの証でした。カストル・オランピックでもウィングとしてレギュラーを務め、チームの重要な戦力として活躍を続けました。

パリ五輪での栄光、そして突然の死

カストル・オランピックでの充実した日々を送る傍ら、ライスンゲ氏は2024年のパリ五輪に向けて7人制フィジー代表の活動にも参加しました。そして、オリンピック本番ではチームの銀メダル獲得に貢献し、輝かしい成績を収めました。

しかし、その栄光からわずか数ヶ月後、彼のキャリアは突然の終わりを迎えます。2025年 5月8日の朝、彼はフランスのタルヌ県サイスにおいて、日課であるトレーニングに向かう途中で鉄道の踏切を横断中に、走行中の列車と衝突する事故に遭遇しました。この悲劇により、チョサイア・ライスンゲ氏は残念ながらその場で亡くなりました。享年30歳という、選手としても一人の人間としてもあまりにも早すぎる死でした。

追悼

チョサイア・ライスンゲ氏の突然の訃報は、所属クラブのカストル・オランピックをはじめ、かつて所属したクラブ、フィジーラグビー協会、そして世界のラグビー界に深い悲しみと衝撃を与えました。彼はグラウンド上で見せた力強いプレーと、オフフィールドで見せた人柄で多くの人々に愛されました。短い生涯ではありましたが、フランスのプロリーグとオリンピックの舞台で残した功績は、決して忘れられることはないでしょう。彼の死を悼み、心よりご冥福をお祈りします。

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