チョンラターン・ピリヤピンヨー

チョンラターン・ピリヤピンヨーは、1985年1月25日にタイのアムナートチャルーン県で生まれたプロボクサーです。ムエタイを経験した後、プロボクシングに転向し、そのキャリアの大部分をアジア圏のタイトル戦線で活躍しました。

プロキャリアの中で、彼は複数の主要なアジアタイトルを獲得しました。特に特筆すべきは、ABCOフェザー級王座の獲得とその驚異的な防衛記録です。彼はこの王座を全階級を通じて史上最多となる27回も防衛しました。これは、アジアボクシング界における彼の支配力と耐久力、そして対戦相手を退け続けた実力を示す偉業と言えるでしょう。

ABCO王座の他にも、チョンラターンは2010年9月15日にソニー・ゴンサレスとの王座決定戦に勝利し、WBOアジア太平洋フェザー級王座を獲得しました。この試合はチャンタブリー県で行われ、彼は8ラウンドTKO勝ちを収めました。また、彼はPABAフェザー級王座も獲得し、第14代王者として1度の防衛に成功しています。

彼のキャリアにおいて、世界王座への挑戦は大きな目標でした。最初の世界挑戦は2012年11月9日、シンガポールのマリーナベイ・サンズで、WBA世界フェザー級スーパー王者クリス・ジョンとの対戦でした。クリス・ジョンの巧みなボクシング技術に対し、チョンラターンの強打は通用せず、結果は12回に及ぶ大差の判定負け（0-3）となりました。これが彼のプロキャリアにおける初黒星となりました。

クリス・ジョン戦での敗北から間もない2012年11月には、ABCOフェザー級王座を返上しました。しかし、敗戦を引きずることなく、彼はすぐに次の目標としてWBO世界フェザー級王座への挑戦を公言するなど、その前向きな姿勢を見せました。PABAフェザー級王座も2014年1月に返上しています。

二度目の世界王座挑戦は2014年11月22日、中国マカオのコタイ・アリーナで行われました。相手は当時のWBO世界フェザー級王者ワシル・ロマチェンコでした。この試合でも、チョンラターンはロマチェンコの卓越した技術とスピードの前に苦戦し、12回にわたる戦いの末、3者ともに107-120という大差の判定負けを喫し、またしても世界王座獲得は叶いませんでした。

フェザー級での世界挑戦失敗後、彼は階級を上げ、スーパーフェザー級でもアジアタイトルを狙います。2016年1月15日、バンコクで行われたWBOアジア太平洋スーパーフェザー級王座決定戦でサディキ・モンバに3回TKO勝ちを収め、WBOアジア太平洋王座の2階級制覇を達成しました。これにより、2016年4月にはWBO世界スーパーフェザー級のランキングで4位にランクインするなど、再び世界挑戦の機会をうかがいます。

三度目の世界王座戦は、2016年7月16日にメキシコで行われたWBO世界スーパーフェザー級暫定王者ミゲール・ベルチェットとの対戦でした。この試合は彼にとって厳しい結果となり、4回2分59秒、プロキャリア初のKO負けを喫し、惜しくも暫定ながら世界王座獲得はなりませんでした。

チョンラターン・ピリヤピンヨーは、数々のアジアタイトル、特にABCOフェザー級王座での圧倒的な防衛記録を残した一方、世界王座には3度挑戦するも、いずれも世界のトップクラスの選手に阻まれ、その栄冠には届きませんでした。彼の粘り強い戦いぶりと、アジア圏での揺るぎない実績は、タイボクシング界において重要な足跡として記憶されています。ABCO表彰式では、2007年度と2009年度に年間最優秀選手賞を受賞するなど、その功績は高く評価されています。

獲得した主なタイトルには、ABCOフェザー級王座、WBOアジア太平洋フェザー級王座、第14代PABAフェザー級王座、そしてWBOアジア太平洋スーパーフェザー級王座があります。

もう一度検索