チラデンテス

ブラジルの独立運動を牽引した英雄、チラデンテス

1746年、ブラジル南東部のミナスジェライス州で貧しい農家の息子として生まれたジョアキン・ジョゼ・ダ・シルヴァ・シャヴィエル。彼はのちに、ブラジルの独立運動において中心的な役割を果たすことになる人物、チラデンテスとして知られるようになります。

humble beginnings and rise as a dentist

両親を早く亡くしたチラデンテスは、名付け親のもとで育てられ、外科医である家庭教師から教育を受けました。彼は正式な学校教育を受けませんでしたが、高い知識と技能を習得し、歯科医師として生計を立てました。「チラデンテス」とはポルトガル語で「歯を抜く者」を意味し、彼の職業に由来する通称です。歯科医師の傍ら、牛飼い、炭坑夫など様々な職を経験し、竜騎兵連隊にも所属していましたが、貴族出身ではなかったため、階級は少尉までしか昇進できませんでした。

Witnessing exploitation and awakening to the cause of independence

ミナスジェライス州は、金鉱脈で知られる豊かな地域でした。チラデンテスは、その地で鉱山に関する知識を深め、公共事業にも携わりました。しかし、彼はそこで目を覚まさせる現実を目の当たりにします。ブラジルから採掘された莫大な富が、ポルトガル本国に流出しているという事実です。ポルトガルは植民地ブラジルに対し、過酷な税制、特に「デラマ税」と呼ばれる追徴税を課し、ブラジルの経済を搾取していました。この状況を目の当たりにしたチラデンテスは、ブラジルの人々がポルトガルに搾取されていることに強い憤りを覚えます。

ヴィラ・リッカからリオデジャネイロまでの道のりを往復する中で、彼はヨーロッパからの自由と独立の思想に触れ、その影響を強く受けました。1788年には、地元の軍司令官の息子であるジョゼ・アルヴァレス・マーシェルと出会い、彼と共に独立運動のグループを結成します。このグループはブラジル全土に独立の思想を広める活動を展開しました。ルソーの思想やアメリカ独立革命の影響も受け、チラデンテスは「ミナスの陰謀」と呼ばれる独立運動に加わります。この運動は、ブラジルの独立と大学設立を目標としていました。彼らの掲げた旗は、現在ミナスジェライス州の州旗として用いられています。

Arrest, trial, and execution

1789年2月、デラマ税の徴収日、チラデンテスは独立運動の決行を開始しました。しかし、内部の告発により、運動はポルトガル政府に発覚し、同年5月10日、チラデンテスは逮捕されます。3年間に及ぶ裁判の後、11人に死刑判決が下されましたが、マリア1世によってチラデンテス以外の10人の刑は流刑に減刑されます。チラデンテスは、首謀者として、リオデジャネイロで絞首刑に処され、遺体は切断されて晒されました。享年45歳でした。

A national hero

チラデンテスは、19世紀末からブラジルの独立運動の英雄として広く認識されるようになりました。彼の処刑された日、4月21日は、1889年にブラジルの祝日に制定されています。彼の生涯と行動は、ブラジルの人々の自由と独立への闘争の歴史に深く刻まれています。彼は、植民地支配に抵抗し、自らの命を犠牲にしてまで理想を追求した、真の国民的英雄と言えるでしょう。貧しい農家の出身から歯科医師となり、そして独立運動の指導者へと至った彼の波乱に満ちた人生は、現在もなお多くの人々に勇気と希望を与え続けています。

もう一度検索