チリ・クーデター

チリ・クーデターの詳細

1973年9月11日、チリの首都サンティアゴで発生した軍事クーデターは、民主的に選出された社会主義者サルバドール・アジェンデ大統領の政権を倒した。このクーデターは、アウグスト・ピノチェト将軍率いるチリ軍によって実施され、モネダ宮殿が攻撃される中、アジェンデは自らの命を絶った。彼の死と政権の崩壊は、チリの政治史に深い影響を及ぼした。

アジェンデ政権と背景

アジェンデはラテンアメリカにおける初の民主選出されたマルクス主義者として注目を浴びていた。しかし、党内や議会との対立、そしてアメリカ合衆国からの経済制裁や圧力などが続く中、彼の政権は次第に弱体化していった。1970年の政権発足から1973年初めまでは、農地改革や国有化政策を進めていたものの、物価上昇と失業の悪化により社会は不安定な状況に陥る。

アジェンデの政権は、1972年には大規模ストライキに直面し、それがまた軍部の台頭を助長する要因にもなった。クーデターの兆候は早くから見え始めており、6月29日には未遂のクーデター（タンケタソ）が起こるなど、軍部が力を持つようになっていた。

クーデターの開始

1973年9月11日、クーデターは早朝から始まった。海軍がバルパライソを占拠し、軍部は全国各地でラジオとテレビ局を閉鎖。アジェンデは海軍の行動を知らされる中、官邸に向かうが、連絡は次第に困難となり、クーデターの勢力が拡大していることを認識できなかった。軍部はすみやかにアジェンデの解任を宣言し、全土にわたり権力を掌握。

アジェンデは最後の演説を国民に向け行い、憲法上の義務を理由に降伏を拒否した。彼の演説では、チリの未来への希望と国民への期待が込められ、自身が暗黒の時代を乗り越えるための道を示したいという意志が感じられた。

アジェンデの最期

その日の午後、アジェンデは軍に包囲された官邸内で孤立し、最終的に自ら命を絶つ決断を下した。彼の死は、その後のチリ社会や国際情勢に大きな波紋を呼ぶこととなった。ピノチェトはクーデター後、政権を握り、強硬な政策を展開したことで、数多くの市民の命が奪われ、政治的弾圧が続いた。

国際的な影響と反応

このクーデターは国際的にも大きな波紋を広げ、米国のCIAも関与していたとされる。この事件は「もう一つの9.11」とも呼ばれ、政治的背景を含む様々な議論が厚く交わされることとなった。アメリカはアジェンデ政権の崩壊を後押しし、冷戦時代の格差を生むことになった。

結論

チリ・クーデターは単なる国内の政権交代ではなく、世界中に影響を与える国際的な行動の一環として位置づけられ、経済、政治、社会的な側面から多様な議論の対象となった。ピノチェト政権は長く続く独裁体制を確立し、1989年の国民投票を経て初めて民主主義へと移行する機運が生まれることになる。

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