チンキ

チンキ剤について

チンキ（英: tincture、独: Tinktur、蘭: tinctuur）は、生薬やハーブから抽出した成分をエタノールもしくはエタノールと精製水を混合した液体に浸すことによって作られる液状の製剤です。この方法を利用することで、植物の有効成分を効果的に抽出し、利用することが可能となります。

製造方法

一般的なチンキの製造方法には、以下のような工程が含まれます。まず、生薬やハーブなどの材料を小さく刻みます。その後、冷浸法（アンフルラージュ）またはパーコレーション法を使用して浸出を行います。冷浸法では、材料をエタノールに浸して長時間放置し、徐々に有効成分が溶出するのを待ちます。一方、パーコレーション法では、浸出液が材料を通過することで成分を抽出する手法です。どちらの方法も、ハーブや生薬の持つ特性を引き出すために重要な工程です。

作成したチンキは、エタノールを多く含んでいるため非常に引火性が高いです。そのため、チンキは気密容器に保存し、火気の近くで保管することは避けなければなりません。適切な保管方法を守ることで、効果を損なうことなく長期保存が可能です。

チンキの種類

チンキには多くのバリエーションが存在し、それぞれに独自の特性や使用目的があります。以下は代表的なチンキの種類です：

• - ハーブチンキ：多様なハーブを元に作られ、さまざまな用途に利用される。
• - アヘンチンキ：アヘンの成分を使用した医療用のチンキ。
• - 苦味チンキ：消化促進などに用いられる苦味成分を含有。
• - トウガラシチンキ：辛味成分を抽出したもので、料理や薬用として使用。
• - ホミカチンキ：特定の植物から抽出した成分。
• - バニラチンキ：バニラの香りを生かした製品。

チンキではないもの

チンキと名がついているが、実際にはチンキではない製品も存在します。それらの例として、以下のものがあります：

• - ヨードチンキ：生薬からではなく、ヨウ素を溶かして作っているため、チンキとは分類されないが、一般的にはチンキと呼ばれる。
• - マーキュロクロム液：水にマーキュロクロムを溶かしたもので、これもチンキには当たらない。
• - タムシチンキ：主成分サリチル酸は生薬製剤ではないため、チンキとは見なされない。しかし、土槿皮チンキはその名の通り、槿皮チンキを配合しているため、チンキとして扱われます。

関連項目

チンキはさまざまな製剤が存在する中の一つであり、他にもエキスや流エキス、精油、エッセンスなどが関連製品として挙げられます。また、リキュールも関連する製剤の一つとして考えられています。これらの製品はそれぞれ異なる方法で抽出されているため、知識を深めることで、より適切に利用することができます。

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