チーム・バチスタの栄光

『チーム・バチスタの栄光』

概要

『チーム・バチスタの栄光』は、2006年に宝島社から出版された海堂尊の長編小説です。この作品は海堂のデビュー作であり、第4回『このミステリーがすごい！』大賞を受賞しました。当初のタイトルは『チーム・バチスタの崩壊』でした。

この物語は、架空の「東城大学医学部付属病院」を舞台に、田口・白鳥シリーズの第一作として位置づけられています。特に選考委員の満場一致での受賞が印象的で、海堂は他の作品に取り組んでいたため、二次選考通過の知らせを受けるまで落選したのではないかと不安だったといいます。

作品の魅力は、リアルな医療現場の描写や、医局内の人間関係、さらにはバチスタ手術中に起こる謎の死に絡むミステリーの要素です。特に登場人物たちの個性的なキャラクターが際立っており、320万部以上のベストセラーとなりました。

執筆中は構想から1週間で200枚を書き上げ、その後キャラクターのバランスを考え、もう一人の探偵役である白鳥圭輔のアイディアが生まれました。海堂は作業中に特定の音楽を流す習慣があり、『ツバサ』という曲が執筆時のBGMとして選ばれました。

バチスタ手術は、2006年の技術に基づいて描かれていますが、現在ではその技術は鋭く進歩しています。物語の鍵となるオートプシー・イメージング（Ai）の導入は、事件解決に大きな影響を与えます。

ストーリー

物語は、桜宮市にある東城大学医学部付属病院から始まります。この病院では、フロリダの心臓疾患専門病院から招聘された心臓外科の権威、桐生恭一が率いる「チーム・バチスタ」が、心臓移植の代替医療であるバチスタ手術を行っています。このチームは「チーム・バチスタの奇跡」と称されるほどの成功率を誇っていました。

しかし、驚異の成功を収めていた彼らが、突然立て続けに3例の謎の術中死に直面します。この事態に対処するため、病院長の高階は田口公平に内部調査を命じますが、調査は難航。そんな中、厚生労働省からやって来た白鳥圭輔が調査者として加わり、物語は展開していきます。

登場人物

田口公平

田口は神経内科医で、不定愁訴外来の責任者です。内面的には非常に穏やかで、じっくりと患者と向き合い、評判の良い医師です。しかし、出世競争に興味が薄く、あまり評価されていません。

白鳥圭輔

白鳥は厚生労働省の技官で、「ロジカル・モンスター」として知られています。挑発的な言動で周囲を動揺させる一方、豊富な知識と医師免許を持っています。

桐生恭一

手術チームのリーダーで、「ミスター・パーフェクト」と称されています。理路整然とした手法と清廉な志を持ち、病院内で非常に尊敬されています。

高階権太

病院の院長であり、桐生を招いた張本人。巧みな会話術と実力者としてのスキルを持ち、病院内での人間関係を巧みに操ります。

このように、『チーム・バチスタの栄光』は多彩なキャラクターとリアルな医療シーンを通じて、読者を引き込むミステリー小説となっています。映画化やドラマ化もされており、その人気は未だ衰えを見せていません。

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