ツクシサカネラン

ツクシサカネラン (Neottia kiusiana)

ツクシサカネランは、ラン科に属する多年生植物であり、特異な生態系を持つ腐生植物です。この種類は光合成能力を持たず、他の生物から栄養を得て成長します。主に大韓民国の済州島に分布していることが特徴ですが、日本の本州と九州にもかつて存在していました。

分布の歴史

ツクシサカネランは、1991年に大原豊氏が鹿児島県薩摩郡鶴田町で採集した標本をもとに、新種として橋本保氏と初島住彦氏によって発表されました。しかし、その後の調査では新たな個体が確認されておらず、日本においては絶滅状態にある可能性が高いとされています。特に、千葉県の清澄山では1958年に採集された標本が国立科学博物館に展示され、その後、この植物がツクシサカネランと同一であることが確認されました。また、1966年に愛知県で採集された別の標本も、後に同様の結論が出ました。

さらに、韓国においては2002年に済州島で発見された個体が、新たにNeottia hypocastanopticaとして命名されていたことがありましたが、こちらも後にツクシサカネランとしての同一性が確認されました。

保全状況

日本では、ツクシサカネランは環境省のレッドリストにおいて、2007年までは絶滅危惧IA類に指定されていました。しかし、その後、分布情報や新たな発見がなされなかったことから、2012年には絶滅種と判断されてしまいました。過去の採集地では全く発見されておらず、その生息状況は極めて厳しいものとなっています。

特徴

ツクシサカネランは、その特殊な生態により周囲の環境と密接に絡み合っています。一般的な植物と異なり、土壌の中の菌類などから養分を吸収することで成長し、地下部は細菌や真菌との共生関係を築いています。見た目は、通常のランの特徴を持っており、独特の花を咲かせますが、その生育環境は非常に限られています。

結論

このようにツクシサカネランは、過去の日本でも目にすることができた植物でありながら、環境の変化や人間活動の影響でその姿を消しつつあります。歴史的な発見がある一方で、その絶滅の危機に対する認識が求められています。今後の保護活動や調査によって、再発見や保全が進むことを願うばかりです。

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