ツヅラト峠

ツヅラト峠について

ツヅラト峠（ツヅラトとうげ）は、三重県度会郡大紀町と北牟婁郡紀北町の境に位置する峠で、歴史的には紀伊国の重要な出入口であり、伊勢国と紀伊国の国境でもありました。北緯34度14分35秒、東経136度19分42秒に配置されているこの峠は、海抜357mの高さにあり、世界遺産である熊野古道のルートの一部として認識されています。

この峠は、石畳道が紀北町側に約300mにわたって保存されており、訪れる観光客はその美しい景観と歴史的な雰囲気を楽しむことができます。実際、2012年には30,183人が訪れ、伊勢路の中でも特に人気のあるスポットとなっています。ツヅラトという名称は、峠道が九十九折りの急斜面になっていることに由来すると言われています。この急坂のため、かつて徳川頼宣が紀州藩の藩主を務めていた際には荷坂峠（現在の国道42号）を通過するルートへ変更されることとなりました。さらに、昭和初期までは地域住民の生活道としても用いられていました。

野生動物の脅威

近年、ツヅラト峠では、2024年に登山者がツキノワグマに襲われて負傷する事件が発生しました。この出来事は、峠における野生動物に対する警戒が必要な状況を示しています。自然を楽しむ一方で、訪れる人々は十分な注意を払うことが求められています。

名所の紹介

大紀町側

• - 紀州公句碑: 紀州藩主が詠んだとされる歌「牟婁こえて 鶯聞くや 梅が谷」が刻まれている碑が設置されています。この句はこの地域の美しい風景を表現しており、来訪者に平和を感じさせます。

紀北町側

• - ツヅラト峠頂上: 標高357mからは赤羽川の河口周辺や紀伊長島の中心街を一望できる素晴らしい景観が広がります。
• - 石垣: 野面乱層積で作られた石垣は峠道の側面を保護しており、訪れる者にその工法の美しさを見せてくれます。
• - 庚申堂: 江戸時代に建立されたこの堂には三体の石仏が祀られており、信仰の場となっています。

まとめ

ツヅラト峠は、歴史的・文化的な価値が高い場所です。観光客は美しい風景や名所を楽しめるだけでなく、地域の歴史についても学ぶことができます。また、自然の中での体験を通じて、環境への配慮や野生動物への理解を深めるきっかけにもなるでしょう。この峠を訪れる際は、歴史を感じつつ、自然との共生を意識して楽しんでください。

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