ツリーイング・ドッグ

ツリーイング・ドッグの世界

ツリーイング・ドッグ（Treeing Dog）は、アメリカ、カナダ、メキシコに特有な狩猟犬の一群で、その特異性から多くの獲物を追跡し、木に追い込んで仕留めるために育成されてきました。この犬たちは、実際には50種以上の犬種が存在し、地域ごとの違いや特性によりさまざまに分類されています。日本では「揚げ木犬」と呼ばれることもあります。

起源と改良

この犬のグループは、元々はイギリスで生まれたセントハウンドに起源を持ちます。セントハウンドは、新大陸に渡った移民たちによって飼養されるようになり、特に北米の環境に適応するための改良が行われてきました。北米の動物たちが木に逃げ込むという特性に対応するため、木に登ることができる追跡能力や吠え続ける力を持たせるために、他の犬種との交配が行われました。こうした試行錯誤の末に、現在のツリーイング・ドッグが誕生しました。

猟の方法

ツリーイング猟は、嗅覚を駆使し、獲物を追跡することから始まります。犬たちは群れを成して狩りに出かけ、獲物の匂いをたどっていきます。そして、獲物を木の上に追い込むと、犬たちは高く吠え続けて獲物の注意を引きつけます。こうして獲物が木にいる間に、猟師は隙を見て獲物を仕留めることができます。この方法では、アライグマなどの大型獣は銃で捕らえることが多く、小型の獲物は犬に仕留めてもらうことが一般的です。中には、熱心な犬が獲物を木に登る前に仕留めてしまうこともあります。

スポーツとしての扱い

近年では、ツリーイング猟は狩猟だけに留まらず、スポーツ活動としても盛んに行われています。地域大会や全国大会が開催され、多くの愛好者が参加してその腕を競っています。しかし、ツリーイング猟は主に北米に特有の文化であるため、他地域ではあまり知られていない猟法とも言えます。

種類の分類

ツリーイング・ドッグは、そのサイズや狩猟対象によってさまざまに分類されています。以下に、代表的な犬種のタイプを紹介します。

カー（Cur）

カーは一般的なツリーイング・ドッグの一種で、非常に激しく吠えることが特徴です。サイズは中型から大型が主流で、獲物を木に追い込む力に優れています。

クーンハウンド（Coonhound）

クーンハウンドは、アライグマを狙って作出された犬種です。強い声を持ち、頑丈な体型が特徴で、害獣駆除や毛皮を目的とした狩猟に利用されています。

ファイスト（Feist）

小型のファイストは、多目的に使用されるツリーイング・ドッグで、狩猟時には非常に活発になりますが、普段は大人しい性格を持っています。

スクウィレル・ドッグ（Squirrel Dog）

この犬種は主にリスを狙うために育成されており、小型で軽快なスタイルが特徴です。他の獲物にはあまりついていかないことが多く、一般には愛玩犬としても人気があります。

参考文献

• - 『デズモンド・モリスの犬種事典』（誠文堂新光社）

ツリーイング・ドッグは、アメリカの特有な文化と深く結びついており、追跡と狩猟のスキルが要求される興味深い犬種群です。

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