ツーイ針

ツーイ針 (Tuohy Needle)

ツーイ針とは、注射針の一種であり、主に硬膜外カテーテル挿入に用いられます。英語では「Tuohy needle」と呼ばれ、先端がわずかに湾曲した形状を持つのが特徴です。この針の構造は、中空の外針と、それに一致するサイズの内針から成り立っています。外針部分には注射器を接続するためのハブ（hub）が設けられており、これにより硬膜外腔への薬剤投与が可能となります。

ツーイ針の用途

ツーイ針は、硬膜外鎮痛や麻酔の持続的な施行のために、細い中空カテーテルを硬膜外腔に挿入する際に使用されます。ツーイ針を使用して硬膜外カテーテルを挿入した後、針を抜くことでカテーテルを体内に残し、麻酔や鎮痛の持続が可能となります。特に現代医療においては、無菌性を保つために使い捨てのディスポーザブル製品が活用されています。

針の設計とメリット

ツーイ針の先端は、硬膜を穿刺しないように湾曲して設計されています。湾曲した先端は、針が硬膜に接触する可能性を減少させるため、それによって偶発的な硬膜穿刺が引き起こす頭痛のリスクを軽減します。実際、硬膜穿刺が発生した場合、最大で85%の患者が頭痛を経験し、これは周術期における大きな合併症として知られています。針を挿入する際には、硬膜線維の長軸と平行に向けて穿刺することで、硬膜外腔への到達を確認することができ、これにより頭痛の発生率を下げることができます。

硬膜外腔への到達確認

ツーイ針を用いた硬膜外腔への進入確認には、注射器に生理食塩水を充填し、針を進めることで圧力の低下を感じ取る抵抗消失法がよく用いられます。この方法はドリオッティの原理としても知られており、硬膜外腔へ安全にアクセスするための信頼性の高い技術です。

針の種類

硬膜外針には多くの種類がありますが、主なものは以下の通りです：

• - Crawford針
• - Tuohy針
• - Hustead針
• - Weiss針
• - Sprotte Spezial針

これらの他にも、Wagner針やCheng針、Crawley針、Foldes針、Bell針などがありますが、これらはヒューバー加工の変種であり、先端の形状に違いがあります。また、Brace針やLutz硬膜外針、Scott針、Eldor針といった変種も開発されています。

歴史的背景

ツーイ針は1940年にシアトルの歯科医、Ralph L. Huberによって発明されましたが、1945年にその名が広まったのはアメリカの麻酔科医、Edward Boyce Tuohyの功績です。彼の名前が冠されているこの針は、以来多くの医療現場で使用され続けています。

まとめ

ツーイ針はその独特な設計と機能により、硬膜外麻酔において不可欠な器具の一つとなっています。現在も新しい技術開発が進められ、より安全で効率的な医療の提供に寄与しています。

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