ツール・ド・フランス1968

ツール・ド・フランス1968：オランダ人初の総合優勝と国別対抗戦の終焉

ツール・ド・フランス1968は、第55回目の大会として、1968年6月27日から7月21日まで全22ステージにわたって開催されました。この大会は、国・地域別チーム対抗戦として行われた最後の大会となりました。

レース概要

序盤はベルギーのジョルジュ・バンデンベルへが活躍し、第5ステージでマイヨ・ジョーヌ（個人総合時間賞）を獲得。ピレネー山脈越えのステージでも首位を維持しましたが、徐々にその力は衰え始めます。第16ステージの下り区間では大きく遅れ、ロルフ・ウォルショールに4分25秒差をつけられ、12位に後退。ウォルショールがこのステージでマイヨを奪取します。

続く第17ステージからはアルプス山脈越えの区間となり、突出した選手が不在の中、総合争いは混沌とします。その中で、ヘルマン・バンスプリンゲルがアルプスステージで常に上位に入り、マイヨ奪回に成功します。しかし、アルプス越え最終の第20ステージを終えても、総合2位のグレゴリオ・サンミゲルが12秒差、3位のヤン・ヤンセンが16秒差、4位のフランコ・ビトッシが59秒差と、上位陣は僅差でひしめき合い、総合9位のロジェ・パンジョンまでもが2分差台で続くという大混戦となりました。

最終的な勝負は、最終ステージの個人タイムトライアルに持ち越され、このステージを制した者が総合優勝を果たすという劇的な展開となりました。ヤンセンはバンスプリンゲルに対し54秒差をつける快走を見せ、総合で38秒差をつけ逆転、見事総合優勝を飾りました。この勝利は、ヤンセンにとってオランダ人初のツール・ド・フランス総合優勝という快挙となりました。

国・地域別対抗戦廃止の理由

1967年より、ファンの関心を高める目的で国・地域別対抗戦が導入されましたが、選手たちは普段所属チームで活動しているため、チームプレーに徹しきれない点が課題でした。また、同年のジロ・デ・イタリアで優勝したエディ・メルクスが、ベルギーチーム内の事情で出場を希望していたにも関わらず出場できなかったことも、廃止の要因の一つとなりました。これらの理由から、翌年からはスポンサーチーム別対抗戦に戻されることとなりました。

ツール・ド・フランス1968は、オランダ人初の総合優勝という歴史的瞬間と、国別対抗戦の終焉というターニングポイントが重なった、記憶に残る大会となりました。

総合成績

1位：ヤン・ヤンセン（オランダ）
2位：ヘルマン・バンスプリンゲル（ベルギー）
3位：フェルナンド・マンザネーケ（スペイン）

マイヨ・ジョーヌ保持者

ジョルジュ・バンデンベルへ（ベルギー）
ロルフ・ウォルショール（デンマーク）
ヘルマン・バンスプリンゲル（ベルギー）
ヤン・ヤンセン（オランダ）

外部リンク

第55回ツール・ド・フランス 1968（フランス語）

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