ティエリー・デュソトワール

ティエリー・デュソトワールは、1981年11月18日に西アフリカのコートジボワール、経済の中心地アビジャンで生を受けた元ラグビー選手です。主戦場はフランカーで、力強い突破と献身的なタックルで知られました。フランス代表としても活躍し、主に国内トップリーグであるTop14のクラブチームでキャリアを積み、2017年にスパイクを脱ぎました。

彼の出自は国際的で、フランス人の父親とコートジボワール人の母親のもとに生まれました。この背景は、同じくフランス代表としてプレーしたペピート・エロルガ選手とも共通しています。ラグビー選手としての才能に加え、彼は学業でも優れた能力を発揮しました。フランスの高等教育機関の中でも特に評価の高いグランゼコールの一つ、ボルドー国立高等化学物理学校で専門的な学位を取得しています。このインテリジェンスは、ピッチ上での賢明な判断力にも繋がっていたと言えるでしょう。

クラブキャリアは、2001年にベーグル＝ボルドーでスタートしました。ここで2シーズンを過ごした後、2003-2004シーズンはUSコロミエに所属しました。彼のキャリアが大きく飛躍したのは、2004年にビアリッツ・オランピックに加入してからです。このバスク地方の強豪クラブで彼は中心選手へと成長し、チームは2005年と2006年に国内最高峰リーグであるTop14を連覇するという輝かしい成績を収めました。このビアリッツでの活躍が高く評価され、2006年にはフランス屈指の名門クラブ、スタッド・トゥールーザンへと移籍しました。スタッド・トゥールーザンでは実に11シーズンにわたりプレーし、2017年に引退するまでキャリアの大部分をこのクラブに捧げました。ここでは多くのタイトル獲得に貢献し、チームの不動のフランカーとして長年活躍しました。

フランス代表としての活動も特筆すべきものです。初めてフランス代表のジャージに袖を通したのは、2006年6月17日に行われたルーマニア代表とのテストマッチでした。これが彼の記念すべき代表デビュー戦となります。特に印象的なのは、母国開催となったラグビーワールドカップ2007への参加です。当初のメンバーには選ばれていませんでしたが、チームメイトの負傷に伴い追加招集される形でワールドカップスコッドに加わりました。この大会では、プールステージのナミビア戦とアイルランド戦、準々決勝で優勝候補だったニュージーランドを破る歴史的な一戦、準決勝のイングランド戦、そして3位決定戦のアルゼンチン戦と、合計5試合に出場し、フランス代表のベスト4進出に大きく貢献しました。フル代表としては、キャリアを通じて合計10試合に出場し、3トライを記録、通算15ポイントを獲得しています。代表戦の出場数は、デビュー年の2006年に3試合、ワールドカップが開催された2007年に7試合となっています。

また、フル代表以外でも様々なカテゴリーのフランス代表で経験を積みました。フランスA代表として、2004年にはイングランドA代表とイタリアA代表との試合にそれぞれ出場し、2キャップを獲得。2006年にもアイルランドA代表とイタリアA代表との試合でさらに2キャップを加えています。若い頃は、将来を嘱望される選手としてフランスU-21代表に選出され、2001年にオーストラリア、2002年には南アフリカで開催された大会に出場しました。さらに、フランス大学生代表としてのプレー経験も持っています。

2017年に長年にわたる現役生活に終止符を打ったティエリー・デュソトワールは、コートジボワールにルーツを持ちながらフランスラグビー界で確固たる地位を確立した選手です。学業とラグビーという異なる分野で見せた才能、そしてフィールド上での力強いプレーは、多くのファンに深い印象を残しました。特にスタッド・トゥールーザンとフランス代表における彼の存在感は大きく、その功績はフランスラグビー史に刻まれています。

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