ティムホートンズ

ティムホートンズとは

ティムホートンズ（Tim Hortons Inc.）は、カナダを代表するドーナツチェーンです。1964年にオンタリオ州ハミルトンで創業し、カナダ国内に3,000店以上、アメリカにも600店以上を展開しています。カナダ国内のファーストフード市場で22.6%のシェアを持ち、コーヒー・パン菓子製品の店舗では76%、カフェでは62%のシェアを誇り、スターバックスなどの競合他社を大きく引き離しています。店舗数はカナダのマクドナルドの約2倍と、その規模は圧倒的です。

歴史

創業者のティム・ホートンは、プロホッケーリーグNHLの選手でした。1964年、彼はハミルトンに最初の店舗をオープンしました。その後、ロン・ジョイスと共同経営を行い、ティム・ホートンが1974年に事故で亡くなった後、ジョイスが事業を全て買収し、チェーンを拡大しました。1991年には500店舗に達しました。

このチェーンの拡大は、カナダのドーナツ業界に大きな変化をもたらしました。独立系のドーナツ店はほぼ消滅し、カナダの一人当たりのドーナツ店数は他国を大きく上回るようになりました。1995年にはアメリカのウェンディーズ社と合併しましたが、2006年に株式を上場して独立しました。2014年にはバーガーキングに買収されています。

2023年には、丸紅が東南アジアでの店舗展開に関する契約を締結し、世界17カ国に拡大しました。

カナダでの愛され方

ティムホートンズはカナダで最もマーケティングに成功した企業の一つとされ、「ティムズ」や「ティミーズ」という愛称で親しまれています。テレビCMでは、カナダ人がティムのコーヒーを飲む様子を描いた「実話」形式のものが多く、「常に新鮮（Always Fresh）」や「あなたのそばにはいつもティムホートンズ（You've Always Got Time For Tim Hortons）」といったスローガンが使われています。

スピードくじ「Roll up the Rim to Win」

毎年3月から5月にかけて、「Roll up the Rim to Win」というスピードくじコンテストが開催されます。コーヒーカップの縁をめくって賞品が当たるというもので、自動車が当たることもあります。「R-r-roll up the r-r-im to win」というフレーズは、広く知られています。

コミュニティへの貢献

ティムホートンズは、地域コミュニティへの支援も積極的に行っています。特に「ティムホートンズ児童基金」は、恵まれないカナダ人の子供たちを対象にサマーキャンプへの参加費用を援助しています。

カナダ文化の象徴

ティムホートンズは、カナダ人の日常生活に欠かせない存在であり、カナダ文化の象徴とも言えます。例えば、カナダの俗語である「double double」（クリームと砂糖を2つずつ入れたコーヒー）は、辞書に掲載されています。また、2004年には、戦没者記念日のポピーの花が描かれた記念硬貨の流通に協力しました。

さらに、映画『ウェインズ・ワールド』に登場するドーナツ店の名前は、ティムホートンズの創業者を暗示するジョークとして使われるほど、カナダ人にとっては身近な存在です。社会学の分野でも、ティムホートンズに関する研究がイグノーベル賞を受賞しています。

カナダ軍との関わり

ティムホートンズは、カナダ軍の拠点にも店舗を展開しています。特に、アフガニスタンのカンダハール基地には、カナダ軍の要望で店舗が開設され、5年間で400万杯のコーヒーと300万個のドーナツを販売しました。

米軍との関わり

米軍基地にもティムホートンズの店舗があり、フォート・ノックス陸軍基地を始め、5店舗が展開されています。

ティムホートンズは、単なるドーナツチェーンではなく、カナダの文化と深く結びついた、国民的な存在です。

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