ティム・パーマー

ティム・パーマーは、音楽プロデューサー、レコーディング・エンジニア、ギタリスト、そしてロック・オルタナティブミュージックのソングライターとして、幅広い才能を発揮しているイギリスの音楽家です。1962年10月4日生まれ。40年以上にわたるキャリアの中で、数多くの著名なアーティストと協働し、音楽史に残る名盤の制作に貢献してきました。

初期のキャリア

パーマーはロンドンで音楽キャリアをスタートさせました。1980年代初頭には、ユートピア・スタジオのアシスタント・エンジニアとして、マーク・ノップラーやデッド・オア・アライヴといったミュージシャンと仕事をしていました。21歳という若さで、カッティング・クルーの「(I Just) Died in Your Arms」（1986年）のミックスを手がけ、自身が関わった作品として初のナンバーワン・シングルを経験しました。

プロデューサーとしての躍進

1980年代後半から、パーマーは音楽プロデューサーとしての活動を本格化させます。マイティ・レモン・ドロップス、ミッション、ジーン・ラヴズ・ジザベルなどのグループの作品に、その卓越した音楽センスと技術的な知識を活かしました。1988年には、ロック・シンガーのロバート・プラントのアルバム『ナウ・アンド・ゼン』、1989年にはデヴィッド・ボウイがティン・マシーン名義で発表したデビュー・アルバム『ティン・マシーン』をプロデュースし、高い評価を得ました。

1990年代以降の活躍

1990年代に入ると、パーマーはミキシングの分野でもその才能を発揮し、マザー・ラヴ・ボーン、ザ・キュアー、スポンジ、ワイアー・トレイン、ジェイムスなど、多岐にわたるグループの作品を手がけました。また、ハウス・オブ・ラヴのアルバム『シャイン・オン』のプロデュース、パール・ジャムのアルバム『Ten』のミキシングも担当し、『Ten』は1400万枚以上を売り上げ、アメリカ史上最も売れたアルバムのトップ50にランクインする大成功を収めました。

2000年代以降も、パーマーの活躍は目覚ましいものがあります。U2のアルバム『オール・ザット・ユー・キャント・リーヴ・ビハインド』のミキシングでグラミー賞にノミネートされたほか、オジー・オズボーンのプラチナ・アルバム『ダウン・トゥ・アース』のプロデュースと作曲、ポーキュパイン・ツリーの『イン・アブセンティア』のミックスなど、ジャンルを超えた幅広い作品を手がけています。近年では、テキサス州オースティンに拠点を移し、ジェイソン・ムラーズ、ブルー・オクトーバー、ボブ・シュナイダーらの作品をプロデュース、ミックスしています。

その他の活動

パーマーは、音楽制作の傍ら、業界の発展にも貢献しています。SXSW（サウス・バイ・サウスウエスト）で3年間モデレーターを務め、ザ・レコーディング・アカデミーのテキサス支部では支部長を務めています。また、オースティンの非営利団体ブラックフレットの諮問委員会にも参加するなど、地域社会への貢献も積極的に行っています。

近年の活動

近年では、ラリー・クラインのプロデュースによるジャズ・アルバムのミキシングを数多く手がけています。ビリー・チャイルズ、リズ・ライト、J.D.サウザー、キャンディス・スプリングス、ラン・ラン、ヘイリー・タックらと協働し、チャーリー・パーカーのトリビュート・アルバム『The Passion of Charlie Parker』にも参加しています。2017年には、ティアーズ・フォー・フィアーズの13年ぶりの新曲「I Love You but I'm Lost」をミックスし、BBCラジオ2の「今週のレコード」に選ばれました。

ティム・パーマーは、その長きにわたるキャリアの中で、常に音楽業界の最前線で活躍し続けています。彼の才能と情熱は、これからも多くの音楽ファンを魅了し続けることでしょう。

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