ティレル・011 (Tyrrell 011)
ティレル・011は、1981年から1983年にかけてF1世界選手権に参戦したマシンで、
ティレルチームが誇る最後の優勝マシンでもあります。このマシンの設計はモーリス・フィリップとブライアン・リスルズが手がけ、当時のF1においてはオーソドックスなアルミ
モノコックウイングカーのデザインが採用されています。特筆すべきは、フロントサスペンションにプルロッド式のシステムが搭載されていることです。この011は、その前のモデル009や010とは異なり、独自のデザインが特徴的です。
1981年シーズン
011のデビューは1981年の第9戦イギリスGPの予選においてで、当初はエースドライバーの
エディ・チーバーに与えられたものの、タイムは前年のモデルに乗る
ミケーレ・アルボレートに1.5秒遅れました。その後、チーバーはクラッシュし、011のレースデビューはドイツGPとなります。このレースでは5位入賞を果たしましたが、マシンの信頼性に問題があり、その後のレースではリタイアや下位入賞に甘んじることが多かったです。この年は
グッドイヤーの撤退も影響し、様々なタイヤメーカーを試すこととなり、オーストリアGP以降はチーバーが再び
グッドイヤーを使用し、一方のアルボレートはエイヴォンを用いました。
1982年シーズン
1982年には、リヤサスペンションもプルロッド式が採用され、フロアパネルもカーボン製に改良され、軽量化を実現しました。この年は資金面で厳しい状況でしたが、マシンの信頼性は改善され、成績にも良い影響を与えました。予選では不調が続くも、レースペースは速く、エースドライバーのアルボレートは最終戦ラスベガスGPでの予選3位から勝利を収め、初タイトル獲得となりました。
1983年シーズン
1983年はレギュレーションの変更によりフラットボトム設計となり、さらなるダウンフォースを得るためフロントウイングを装着しました。また、サイドポンツーンは空力的な役割が小さくなったため、小型化される決定が下されました。シーズン前にはノーズに
ラジエーターを配置する実験を行ったものの、ハンドリングの悪化が懸念され、最終的にはこの案は採用されませんでした。さらに改良されたDFVエンジンのDFYが導入されましたが、ターボエンジンに対抗するには力不足だったものの、第7戦デトロイトGPでアルボレートが優勝。この勝利がDFVエンジンと
ティレルにとっての最後の栄光となりました。最終的に011は第13戦イタリアGPを最後に、次のモデル012が投入されることになりました。
F1における全成績
ティレル・011はその活躍を通じてファンや関係者の記憶に深く刻まれています。特に彼のチームとしての努力と改善が、今後に繋がる貴重な経験となったことは間違いありません。