ティレル・025

ティレル・025 (Tyrrell 025)

ティレル・025は、1997年にF1世界選手権に参戦するためにティレルが開発したフォーミュラカーです。この車は、チームの3年目を迎えたミカ・サロと、フットワークから移籍したヨス・フェルスタッペンがドライブしました。

開発の背景

ティレル・025は、前年の024をもとにした発展型として開発されました。この車はエンジンの搭載において大きな変更がありました。以前の信頼性に問題があったヤマハ製のV10エンジンから、フォードのV8エンジンに切り替えました。しかし、この変更はパワー面でV10エンジンを搭載した車に対して劣っていました。

シーズン中、チームは期待通りのパフォーマンスを発揮できず、結果として小規模なチームのミナルディとコンストラクターズポイントを争う展開に。シャシーのバランスは良好でドライバーも実力派であったものの、上位陣に近づくことができても、得点を獲得するには至りませんでした。このような状況により、チーム内のフラストレーションは高まっていきました。

ミカ・サロはモナコGPで印象深いパフォーマンスを見せ、フロントウィングが破損した状態でも5位でフィニッシュ。これがティレルにとって1998年シーズン前にケン・ティレルがチームをブリティッシュ・アメリカン・レーシングに売却する際、F1における最後の得点となりました。最終的にチームは2ポイントを獲得し、コンストラクターズランキングは10位でシーズンを終えました。

特徴的なXウイング

ティレル・025のもう一つの目立つ特徴は、コクピットの両脇に配置された追加のウィングです。このウィングは、スター・ウォーズシリーズの戦闘機に似ていることから「Xウイング」と呼ばれるようになりました。ただし、このウィングは常時装備されたわけではなく、モナコのような高ダウンフォースが必要なサーキットでのみ使用されました。ウィングの色は、フェルスタッペンが黄色、サロがオレンジに塗られていました。

1998年以降、こうしたウィングはティレル・026をはじめ、他のチームのマシンにも採用されるようになりました。ジョーダンやフェラーリ、ザウバー、プロストといったチームも同様の仕様を持っていました。しかし、国際自動車連盟（FIA）は、マシンが破損した際に制御を失うリスクを理由に、1998年4月にはXウイングを即時禁止する措置を取ることになりました。

F1における全成績

ティレル・025は、そのシーズンの成績としては控えめな結果しか残せませんでしたが、車両自体の開発や特異なデザインがF1の歴史において特別な位置を占めています。

参照文献：AUTOCOURSE 1997-98, Henry, Alan (ed.), Hazleton Publishing Ltd. (1997) ISBN 1-874557-47-0

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