ティン・トイ

『ティン・トイ』について

『ティン・トイ』（原題：Tin Toy）は、1988年に公開されたピクサー・アニメーション・スタジオによる短編アニメーション作品です。この映画は、SIGGRAPHで初めて上映され、第61回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞したことで、その評価が確立されました。また、本作は後に制作される長編映画『トイ・ストーリー』への礎となった作品であり、ピクサーが扱うテーマやキャラクターの根源を感じさせる貴重なアニメーションです。さらに、2003年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録され、映画史にその名を刻みました。

あらすじ

物語の主人公であるブリキの楽隊人形、ティニーは、ある日赤ん坊のビリーの部屋にやって来ます。しかし、ビリーは無邪気に遊びたくてティニーを追いかけ始め、その姿に恐怖を覚えたティニーはソファの下に隠れることを決意します。そこには、彼と同じくビリーから逃れてきた他のおもちゃたちも隠れていました。

ビリーは興奮しながらティニーを追い続け、ついには転んで大泣きしてしまいます。その声を聞いたティニーは、もはや逃げることができず、仕方なくビリーをあやそうとします。この緊張感あふれる状況が、観客に笑いや温かい感情を呼び起こします。

登場キャラクター

ティニー（Tinny）

ブリキで作られた楽隊人形であり、手にはアコーディオン、背中にはスネアドラムとシンバルを装備しています。このキャラクターは中盤でソファの下に隠れ、赤ん坊ビリーをあやそうとする姿が描かれています。『トイ・ストーリー4』では、元電気スタンドのボー・ピープの知り合いとしてカメオ出演も果たしています。

ビリー（Billy）

ビリーは物語の中で重要な役割を果たす人間の赤ん坊です。彼は序盤でおもちゃに興味を示しつつ遊ぶも、転んで泣き出すという一幕があります。しかし、ティニーのおかげで彼は再び笑顔を取り戻します。このように、ビリーはティニーとのやり取りを通じて成長していくキャラクターとしても描かれています。

トリビア

『ティン・トイ』の制作には、いくつかの興味深いトリビアがあります。まず、ビリーのモデルは、当時制作を担当していた監督ジョン・ラセターの甥っ子でした。また、『トイ・ストーリー2』では、一瞬だけテレビに映るシーンがあり、さらには短編『リフテッド』では、ティニーが舞台となる家の床に置かれているのが見られます。

さらに、『トイ・ストーリー3』では、保育園に登場したおもちゃたちの隠れポイントにリメイクされた姿がカメオ出演を果たしています。そして、最新の『トイ・ストーリー4』でもティニーは、アンティークショップに存在するおもちゃとして新たに姿を見せています。

『ティン・トイ』は、その独自のアニメーション技術と心温まるストーリーで、多くのファンに愛され続けています。アニメーションの未来を切り拓いた作品として、その価値は今も色褪せることがありません。

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