テイル・スピナーズ・フォー・チルドレン

『テイル・スピナーズ・フォー・チルドレン』は、1960年代前半にユナイテッド・アーティスツ・レコードから発売された、子供向けの物語朗読レコードシリーズです。このシリーズは、様々な物語や小説を、当時の子供たちに向けて魅力的に録音したもので、数多くの童話、民話、そして『ドン・キホーテ』や『ロビンソン・クルーソー』といった文学作品、さらには古くから語り継がれてきた寓話などを収録しています。

特筆すべきは、当時の実力派舞台俳優を多数起用している点です。ロバート・ハーディ、ポール・デインマン、マージョリー・ウェストベリーなど、著名な俳優たちが物語に命を吹き込みました。中には、マギー・スミスやアレック・マッコーエンのように、後に他の役でさらに有名になった俳優や、ドナルド・プレザンス、ジョン・ウッドなど、レコードジャケットに名前が記載されていない俳優も参加しています。

このシリーズは、子供たちが幼い頃から様々な「昔話」に触れる機会を提供し、情操教育に貢献しました。イギリスとフランスで最初に30枚がプレスされ、アトラス・レコードから発売されました。各レコードには、物語のあらすじを紹介するブックレットが付属していましたが、アメリカでユナイテッド・アーティスツ・レコードから発売された際には、ブックレットは付属しませんでした。

ユナイテッド・アーティスツは1970年代前半に新録音を行い、アメリカ、カナダ、オーストラリアでも販売を展開しました。当時、ウォルト・ディズニー・レコードなど、既に子供向けのレコードを販売している会社はいくつか存在しましたが、『テイル・スピナーズ・フォー・チルドレン』の成功がきっかけとなり、多くのレコード会社が同様の子供向け朗読シリーズを制作するようになりました。マーキュリー・ストーリーテラー・シリーズ、ゴールデン・レコード、テレジェネラル・レッツ・プリテンド、リバーシブル・ワンダーランド、パスウェイズ・オブ・サウンドなどがその例として挙げられます。

以下は、ユナイテッド・アーティスツ・シリーズの発売リストの一部です。

ロビン・フッド - ロバート・ハーディ UAC 11001
ウィリアム・テル - ポール・デインマン UAC 11002
白雪姫 - マージョリー・ウェストベリー UAC 11003
シンデレラ - マージョリー・ウェストベリー UAC 11004
円卓の騎士 - デレック・ハート UAC 11005
眠りの森の美女 - デニス・ブライヤー UAC 11006
三銃士 - ロバート・ハーディ UAC 11007
みにくいアヒルの子 - デニス・ブライヤー UAC 11008
長靴をはいた猫 UAC 11009
ショパン物語 - ロバート・ハーディ UAC 11010
* くるみ割り人形 - デニス・ブライヤー UAC 11011

この他にも多数の作品がリリースされ、子供たちの想像力を育む上で大きな役割を果たしました。

レーベルの変遷

ユナイテッド・アーティスツは、1962年にアメリカでオリジナルの30枚のシリーズを発売しました。その後、1968年にレーベルが変わり、1971年には全てのレーベルがユナイテッド・アーティスツの下に統合されました。1971年にリバティ・レコードが休眠すると、サンセットとテイルスピナーの両シリーズはスプリングボード・インターナショナル社に貸し出されました。同社はテイルスピナー・シリーズに関しては1975年と同じカタログ番号で販売しました。同社は1984年に破産し、ガスト・レコード社がジェイ・コアラから一部の商品の販売権を取得しました。

現在でも一部の録音は公開されており、当時の雰囲気を味わうことができます。

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