ドナルド・プレザンス

ドナルド・プレザンス（1919年10月5日 - 1995年2月2日）は、イギリスを代表する個性派俳優として、その名を知られています。

生い立ちと初期のキャリア

学校卒業後、鉄道員として働いていたプレザンスは、俳優への夢を諦めきれず、その職を辞して演劇の世界へと足を踏み入れました。1939年に舞台デビューを果たしますが、第二次世界大戦の勃発によりイギリス空軍に入隊。1944年、フランスのアジャンヴィル上空で搭乗していた爆撃機が撃墜され、ドイツ軍の捕虜となるという過酷な経験をします。終戦後、再び演劇の世界へと戻り、才能を開花させていきました。

舞台での成功と映画界への進出

舞台俳優として活動する中で、ローレンス・オリヴィエに見出され、彼の劇団に所属したこともあります。1954年の映画『島のならず者』で正式に映画デビューを果たしました。

個性的な役柄と国際的な活躍

プレザンスは、その特徴的な坊主頭と声質から、悪役や狂人役を演じることが多く、『007は二度死ぬ』のスペクター首領エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド（『オースティン・パワーズ』のDr.イーブルのモデル）、『大脱走』のコリン・ブライス、『ミクロの決死圏』の学者役など、印象的な役柄を数多く演じました。しかし、彼の演技の幅は非常に広く、強烈な悪役から一癖ある善人まで、難なくこなし、観客を魅了しました。活動の場はTVドラマ、ハリウッド映画にとどまらず、イギリス、フランス、イタリア、ドイツなど、様々な国の映画に出演し、国際的に活躍しました。

『ハロウィン』シリーズでの名演

プレザンスの最も有名な出演作として知られるのが、ホラー映画『ハロウィン』シリーズのルーミス医師役です。彼は、第1作から第6作（第3作は外伝的な作品のため出演せず）まで、殺人鬼マイケル・マイヤーズを執念深く追い続ける精神科医を演じ、その存在感を示しました。製作者側も、ルーミス役はプレザンス以外には考えられないと高く評価しており、彼の死後、製作された『ハロウィン』シリーズでは、プレザンスが演じたルーミス医師もまた、彼自身が亡くなった1995年に死去したという設定になっています。第7作『ハロウィンH20』のラストには、彼への哀悼のメッセージが送られました。その後、2007年のリメイク版『ハロウィン』では、マルコム・マクダウェルがルーミス医師役を引き継いでいます。

晩年と死

1995年、心臓弁置換手術後の合併症による心不全のため、75歳でこの世を去りました。

ドナルド・プレザンスは、その個性的な風貌と確かな演技力で、映画史に名を残す名優として、これからも多くの人々に記憶されることでしょう。

もう一度検索