ケツァルコアトル

ケツァルコアトルについて

ケツァルコアトル（Quetzalcōātl）は、アステカ[[神話]]において極めて重要な存在であり、文化神や農耕神として広く尊敬されています。また、風の神としての側面も持っています。この神は、マヤ文明では「ククルカン」という別名で崇拝されていました。特にトルテカ族においては、その祖神とされており、数々の神話にその名が登場します。

伝説の変遷

昔は水や農耕と深く結びついた蛇神として信じられていましたが、時代が進むにつれて文化を人々に授ける神としての性格が強まりました。これは、ギリシャ神話でいうところのプロメテウスに似た役割を果たしているとされています。ケツァルコアトルは火を人類に与え、文明の発展に寄与したと語られています。

時間と共に、アステカ[[神話]]に取り込まれたことから、彼は創造神としての地位を得ることになりました。他の神々、特にウィツィロポチトリなどとともに、彼はアステカの神々の間で重要な役割を持っています。「五つの太陽の神話」にも関与しており、太陽神としての逸話が数多く残っています。伝説の中では、ケツァルコアトルは驚くべき力を持つ存在として描かれ、岩を持ち上げて投げることで森を平地に変えるといったエピソードが存在します。

平和の神

神話において、彼は平和の神とされていて、古代の人々に人身供犠をやめるよう説いたとされています。これが原因で、戦いを好むテスカトリポカに嫉妬され、呪いをかけられてしまいます。彼は最終的に堕落し、自身の妹ケツァルペトラトルとの肉体関係を持つという悲劇的な選択をしてしまいます。その結果、トゥーラ（またはアステカ）の地を追われてしまいました。

追放される際には、自らの宮殿を焼き払い、財宝を埋めた後、火葬されるために自らを生贄と捧げる決断を下しました。その際、彼の灰が美しい鳥たちとなって舞い上がるといった伝説も残されています。この神話は、ケツァルコアトルを名乗ったトルテカの王が、彼の持つ平和の理念に反して裏切られたと考えられています。

アステカにはケツァルコアトルに関連する人身供犠や祭りの記録が多く残っています。しかし、一方で、彼に関する神話がコルテスの征服後に形成された可能性が高いとも言われています。これらの物語は、後の歴史における人身供犠に対する反発と結びついています。

ケツァルコアトルの名とその象徴

彼の名前は古代ナワトル語で「羽毛のある蛇」を意味し、しばしばその姿で描かれます。白い顔を持つ男性として描かれることも多く、神々しい存在感が強調されます。彼は「セーアカトル（一の葦の年）に復活する」との予言を残し、アステカを去ったと伝えられています。この年にコンキスタドールがメキシコに到着したことにより、アステカの君主たちは彼らをケツァルコアトルの再来と考え、結果的には対応をし損ね、多くの悲劇を招くこととなりました。

代々木公園では、ケツァルコアトルの像を見ることができ、これは1990年にメキシコ政府から贈られたものです。彼の存在は現在でも人々の間で広く認識されており、文化や歴史における重要な象徴とされています。

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