テキサス・セントラル・レイルウェイ

テキサス・セントラル・レイルウェイ：テキサス州を繋ぐ高速鉄道計画

テキサス・セントラル・レイルウェイは、アメリカ合衆国テキサス州で計画されている高速鉄道プロジェクトです。このプロジェクトは、テキサス・セントラル・パートナーズ社（TCP）が主導し、ヒューストンとダラスという州内の二大都市間、約380kmを約90分で結ぶことを目指しています。

プロジェクトの概要

当初、2026年の開業を目指していましたが、資金調達の遅れから2030年代前半にずれ込む見込みです。開業すれば、アセラ・エクスプレス、ブライトラインに次ぐ、北アメリカで3番目の高速鉄道となる予定です。

TCPは民間企業であり、連邦鉄道局やテキサス運輸省と協力し、環境影響評価を実施しています。このプロジェクトは、当初120億ドルと見積もられていた総工費が400億ドル以上に膨らむ見通しとなっています。しかし、2023年8月にはアムトラックとの協力関係を発表し、連邦政府からの資金援助を共同で申請するなど、事業実現に向けて様々な取り組みを進めています。

技術と車両

当初、台湾新幹線に続き日本の新幹線方式を採用し、N700系の改良版を導入する計画でしたが、現在はN700Sをアメリカ仕様に改良した車両が採用される予定です。最高時速330kmで走行する計画であり、JR東海が技術支援に加え、少額の出資を検討しています。2016年には技術支援を目的とした現地法人「HTeC」を設立するなど、日本企業の協力も不可欠となっています。

路線と駅

路線は既存の送電線沿いの土地を活用する予定です。また、中間駅としてテキサスA&M大学のあるブラゾス郡への設置も検討されています。将来的には、オースティンとサンアントニオを結ぶ第2次計画も進められていますが、具体的なスケジュールは未定です。

課題と展望

プロジェクトの課題の一つに、建設予定地の地主からの反対が挙げられます。また、総事業費が300億ドルを超えるため、連邦政府や民間からの資金調達が不可欠です。アムトラックとの連携によって、発券・予約システムはアムトラックのものが使用される予定で、利便性の向上が期待されます。2024年5月には、アムトラックの上級副社長が、連邦政府や民間企業、外国からの投資なくしてはプロジェクトが進展しないと述べ、資金調達の重要性を強調しました。

車両については、当初は日本で製造されるものの、その後はアメリカ国内での雇用創出のために、アメリカでの生産への移行が検討されています。日立製作所が計画支援企業として名を連ねていますが、発注先は未定です。

このプロジェクトは、テキサス州の交通インフラを大きく変える可能性を秘めています。実現には多くの課題が残されていますが、官民連携による協力体制のもと、計画は着実に進められています。

補足情報

• - 運行面でのパートナーとして、スペイン国鉄・レンフェが指名されています。
• - 連邦鉄道局（FDA）や米国運輸省が提供する補助金プログラムの活用を検討しています。
• - ダラス、ヒューストン両市からは強い政治的支援を得ており、財政支援の可能性も示唆されています。
• - テキサス・セントラル・レイルウェイの公式ウェブサイトや関連資料は、連邦鉄道局のウェブサイトなどで公開されています。

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