テキサス併合

テキサス併合の概要

テキサス併合（1845年）は、テキサス共和国が自らの意志でアメリカ合衆国に加盟し、28番目の州としての地位を得た歴史的な出来事です。この併合は、メキシコとの複雑な関係や、国内の奴隷制問題といった要素が絡み合い、長い間の議論の末に成し遂げられました。

背景

1836年、テキサスはメキシコからの独立を勝ち取ったばかりで、サミュエル・ヒューストン大統領の下で新共和国を築いていました。続いて、1845年にアメリカへの併合提案が出され、2年間の議論が繰り返されました。米国はこの提案に関心を持つ一方で、併合がメキシコとの戦争を引き起こす懸念を抱えていました。特に、テキサスの奴隷制が上院の勢力に影響を与えるとの判断が北部州の反発を招く要因となったのです。

最初の併合提案は1837年にアメリカ大統領マーティン・ヴァン・ビューレンへ提出されましたが、メキシコとの戦争の懸念から拒否されました。1838年には、ミラボー・ラマーが大統領となり、独立国家としての立場を強化するために一時的に併合提案を撤回しました。テキサスは1844年、イギリスとの関係を模索し始め、この動きがアメリカの併合提案を再燃させるきっかけとなりました。

政治的な動き

ジョン・タイラー大統領は、テキサスのイギリスへの接近に懸念を抱き、1844年には併合の条約を締結。しかし、この条約は上院で否決されました。その後、1844年の大統領選挙で勝利した民主党のジェームズ・ポークが併合を推進し、タイラーは一連の議会工作によって法案を提出しました。最終的に1845年2月、議会での批准が決定し、タイラーが署名することで正式に併合が決まりました。

メキシコの反応

メキシコは、この併合を「宣戦布告」とみなし、戦争の準備を進めました。しかし、国内問題や国際的な圧力により、実際の行動は鈍くなります。1845年7月、テキサスは圧倒的な賛成でアメリカ合衆国との併合を承認しました。メキシコ政府はこの動きを受けて、さらなる戦争回避の努力をしますが、態度は硬化し、その後の米墨戦争に至ることになります。

併合後の影響

テキサスの併合は、アメリカ合衆国の地理的及び政治的な状況に大きな影響を与えました。併合の決定は、南北の対立を一層激化させ、その後の南北戦争の直接的な要因ともなりました。また、1846年に始まる米墨戦争を引き起こし、この戦争を経てアメリカはテキサスのみならず、カリフォルニアやニューメキシコをも獲得することになります。

併合にともない、テキサスは「ローン・スター州」として知られ、一つ星の旗が州の象徴となりました。テキサス併合は、アメリカの歴史における重要な転換点であり、今でもその影響は意識されています。特に、合衆国からの離脱の権利や、新しい州の創設に関する議論は現在も続いています。この併合は、アメリカの州際政治や州としてのアイデンティティにも深く影響しており、歴史の教訓としても捉えられています。

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