テキストサイト

テキストサイトとは

テキストサイトは、1990年代後半から2000年代初頭にかけて隆盛を極めた、文章をメインコンテンツとするウェブサイトの一形態です。特に、面白ネタや身内ネタを中心とした日記調の文章が特徴で、当時のインターネットコミュニティにおいて独特の存在感を放っていました。

テキストサイトの特徴

シンプルな構成: 基本的にHTMLで記述された、文章が中心のウェブサイトです。画像や装飾は控えめで、テキストによる表現力が重視されていました。
独特の文体: 会話のようなくだけた表現や、コントのようなユーモラスな言い回しが多用されていました。改行や強調を効果的に使うことで、視覚的にも楽しめる工夫が凝らされていました。
匿名性: 個人の趣味として運営されていることが多く、匿名での発信が一般的でした。これにより、自由で率直な意見や感情が表現されていました。

テキストサイトの隆盛と衰退

黎明期のインターネット環境において、コンテンツが限られていたこと、個人が手軽に情報発信できる環境が整ったことが、テキストサイト隆盛の背景にありました。初期の2ちゃんねると同様に、個人が自由に意見や情報を発信する場として機能し、多くの人々を惹きつけました。

しかし、2000年代に入ると、ブログサービスの登場やコンテンツの多様化により、テキストサイトは徐々にその存在感を失っていきます。ブログのようなCMSの登場、mixiに代表されるSNSの普及などにより、個人メディアやコミュニティの主流が移行していきました。また、検索エンジン対策が施された商業ブログサービスの台頭も、テキストサイト衰退の一因となりました。

テキストサイトの遺産

テキストサイトは衰退しましたが、その独自の文化やスタイルは、現代のウェブコンテンツにも受け継がれています。例えば、デイリーポータルZやオモコロといったウェブサイトは、テキストサイト的なユーモアや自虐ネタ、独特の視点を取り入れたコンテンツを提供し、人気を集めています。これらのサイトには、かつてテキストサイトを運営していた人物が関わっていることも少なくありません。

著名なテキストサイト

侍魂: 運営者である健氏による、ロボットや事件、旅行に関する記事が人気を博しました。特に、「先行者」という中国のロボットに関する記事は、多くの読者を魅了しました。
ろじっくぱらだいす: 運営者のワタナベ氏が主催する「クリスマス殲滅委員会」など、自虐ネタを中心としたコンテンツが特徴でした。非モテ系のユーザーから絶大な支持を集めました。
バーチャルネットアイドル・ちゆ１２歳: 運営者のちゆ氏による、サブカルチャーネタを中心としたサイトです。人気が爆発し、多くのクローンサイトを生み出しました。「バーチャルネットアイドル」（VNI）というジャンルを確立したことでも知られています。

テキストサイトは、インターネット黎明期における個人の表現の場として、独自の文化を築き上げました。その精神は、現代のウェブコンテンツにも息づいており、インターネット文化の重要な一部として語り継がれています。

参考文献

佐倉葉ウェブ文化研究室 - テキストサイトの歴史
テキストサイト大全

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