テクノポリス (雑誌)

『テクノポリス』：パソコンゲーム黎明期を彩った雑誌

『テクノポリス』は、1982年から1994年まで徳間書店（後に徳間書店インターメディア）から発行されていた月刊パソコンゲーム雑誌です。通称は「テクポリ」として親しまれ、パソコンゲーム黎明期における重要な情報源でした。

創刊からゲーム雑誌化への変遷

1982年6月21日に創刊された『テクノポリス』は、当初「マイコン入門雑誌」を標榜し、パーソナルコンピュータ（マイコン）を中心に、新技術やSF小説など幅広い分野を扱っていました。その後、「PLAY SCIENCE MAGAZINE」と名乗り、コンピュータグラフィックスに焦点を当て、ウォーゲームやゲーム特集も開始しました。さらに「MICOM BEGINNER'S MAGAZINE」と題し、水着モデルを起用した表紙やCGプログラムの掲載で注目を集めました。初期は科学記事や秋葉原紹介、漫画連載もありましたが、次第に若者向けのパソコン専門誌としての色彩を強め、パソコンの最新情報や読者投稿プログラムを掲載するようになりました。黎明期のパソコンユーザーはプログラマーが多かったため、機械語プログラムの入門記事など専門的な内容も掲載していました。

1984年からは「ライトな時代でも遊べるパソコン入門αマガジン」と題し、市販ゲームを中心とした娯楽性の高い内容へとシフトしていきます。読者からの投稿プログラムを掲載する別冊「プログラムポシェット」も発行されました。この時期、目次などの挿絵には佐藤元が起用され、オリジナルキャラクターのMYとハロをモチーフにしたロボットのパコが登場しました。

1980年代中期にはパソコン市場が成熟し、ユーザーの関心が市販ゲームソフトに移ったため、1986年から「パソコン・ゲームベンチャーMagazine」としてゲーム紹介や攻略を中心とした誌面へと変化しました。特に市販ソフトの改造手順を紹介する「マル忍改造」コーナーは人気を博しました。ただし、当時はゲーム攻略情報の取り扱いに関するメーカーとの合意が不十分で、トラブルも発生しました。代表的な例として、『フラッピー』の再開パスワード公開や『ザ・ブラックオニキス』のキャラクターデータ改造プログラムが問題視されました。

読者投稿や交流にも力が入れられ、投稿掲載者はテクポリクラブ会員として会員証などが送付されました。読者との交流は、投稿や手紙だけでなく、読者が編集部を訪れたり、編集部が読者宅へ電話をしたりするなど、多岐にわたりました。読者コーナーは女子大生パーソナリティーが司会を務め、人気を博しました。

美少女ゲーム誌化と休刊

1980年代後期、家庭用ゲーム機の普及により、パソコンのゲーム機としての優位性が低下しました。パソコンゲームはアダルトゲームや同人ソフトを中心に発展し、『テクノポリス』も「ちょっとカゲキな パソコンプレイングMagazine」として美少女ゲームを大きく取り扱うようになりました。当時、徳間書店は「美少女ゲーム」を商標登録していました。しかし、美少女ゲームだけでなく、RPGやストラテジーゲームなど、硬派なゲームも一貫して取り扱っていました。CG講座やぬり絵コンテスト、CG描画ユーティリティの特集も多く組まれました。

この頃には、雑誌のサイズが小型化され、表紙にはイラストレーターのいのまたむつみが起用され、アニメ・ゲームファン層を取り込みました。徳間書店は出版だけでなくゲーム制作にも進出し、独自のゲーム作品をリリースしました。

1993年からは「パソコンゲーム情報誌」と題し、体験版フロッピーディスクを付録にするなどの試みも行われましたが、1994年2月8日発売の同年3月号をもって休刊となりました。

編集スタッフの一部は、アダルトゲーム紹介が取り止めとなった際に独立し、『BugBug』や『PC Angel』の編集に携わりました。

その後

休刊後、『テクノポリス』に関する動きは見られませんでしたが、2014年1月30日には『闘神都市II』のニンテンドー3DSリメイクを記念し、『月刊テクノポリス2014復活版』が制作されました。これは、「『闘神都市II』発売時に本誌が存在していたら」という仮定のもと、当時の編集スタッフが再集結し、当時の誌面を再現した復刻版です。

『テクノポリス』は、パソコンゲーム黎明期から美少女ゲーム隆盛期まで、時代の変化とともにその姿を変えながら、パソコンゲーム文化を支え続けた雑誌でした。その歴史は、日本のパソコンゲーム史を語る上で欠かせないものとなっています。

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