テクラ・バダジェフスカ

テクラ・ボンダジェフスカ＝バラノフスカについて

テクラ・ボンダジェフスカ＝バラノフスカ（1823年9月17日 - 1861年9月29日）は、ポーランドの作曲家兼ピアニストとして知られています。彼女の名前は多くの場合、夫の姓を省略した形で「テクラ・バダジェフスカ」としても知られていますが、正確には長い二重姓を持っていました。彼女はポーランドのムワヴァという街で生まれましたが、彼女の生年については異なる説があり、1834年や1838年、あるいは1829年が挙げられています。

音楽キャリアの初期

テクラは本格的な音楽教育を受けることはありませんでしたが、サロンでのピアノ演奏を通じて音楽活動を展開しました。彼女は多くの小品を作曲し、その中で最も著名な作品が1851年に発表された『乙女の祈り』（Modlitwa dziewicy）です。この曲は、パリの音楽雑誌「La Revue et Gazette Musicale」に取り上げられ、彼女の名前が広まりました。結婚後は、J・バラノフスキとの間に5人の子供をもうけ、その忙しい生活の中でも作曲活動を続けました。しかし、1861年に病により若くして亡くなります。

作品と評価

ボンダジェフスカは全体で約35曲の小品を残しましたが、戦争などの影響で多くの作品は失われてしまいました。特に、ポーランド国内では彼女の音楽があまり知られていない現状があります。その原因としては、共産圏の影響で「祈り」というテーマが不適切とされ、また音楽教育を受けていないために過小評価されたことが考えられます。19世紀の音楽辞典では「浅薄な素人くささを超えられなかった」と厳しい批評もありました。

『乙女の祈り』の人気

『乙女の祈り』は日本においても非常に有名で、明治時代に楽譜が持ち込まれて以来、多くのピアノ経験者に親しまれています。この曲はオルゴールの定番曲にもなっており、具体的には東海道新幹線の安全柵開閉メロディや青森県の音響装置付信号機で使用されています。また、川崎市では1985年までごみ収集車がこのメロディを流していました。台湾でも多くの地域でゴミ収集車が『乙女の祈り』を使っており、地域住民にとっては非常に耳馴染みのある音楽として愛されています。

再評価の動き

近年では、日本に留学したポーランド人たちにより、バダジェフスカの業績が再評価されてきています。彼らは彼女の音楽を広めるための活動を行い、ポーランド国内でも少しずつその評価が上がってきています。2007年にはキングレコードから彼女の作品集がリリースされ、その多くが初録音でした。また、1910年代から1920年代の古いグラモフォン・レコードも発見され、ボンダジェフスカの作品が当時どのように受け入れられていたのかを窺い知ることができます。

代表的な作品

テクラ・ボンダジェフスカ＝バラノフスカは、様々なジャンルの音楽を作曲しましたが、特に「乙女の祈り」やその返歌である「かなえられた乙女の祈り」がよく知られています。他にも以下の作品があります：

• - アグネス (Agnes)
• - エオリアン・ハープ (Harfa eolska)
• - 愛 (Miłość)
• - 幽霊のメロディ (La mélodie du fantôme)
• - 朝の調べ (Harmonies du matin)

これらの作品は、今でも新たな解釈や演奏が試みられており、クラシック音楽の愛好家にとって新しい発見の機会となっています。彼女の音楽の魅力は、時代を超えて多くの人々に感動を与え続けているのです。

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