テスラ (バンド)

テスラは、アメリカ合衆国カリフォルニア州サクラメントを拠点に活動するハードロック・バンドです。1980年代に隆盛を誇ったLAメタルやヘアメタルのシーンにおいて、その一角を担う存在として注目を集めました。初期作品は軒並みミリオンセラーを記録するなど商業的にも大きな成功を収めましたが、1990年代後半に活動を休止。しかし2000年に再結成を果たし、現在に至るまで精力的な活動を続けています。バンド名は、セルビア系アメリカ人の偉大な発明家ニコラ・テスラに敬意を表して名付けられました。

来歴

バンドの源流は、ジェフ・キースが1982年から率いていた「City Kidd」というロックバンドに遡ります。1984年、ジェフはバンド体制を一新。フランク・ハノン、トミー・スキーオ、ブライアン・ウィート、トロイ・ルケッタといった新メンバーを迎え入れ、より強固な布陣を確立しました。そしてデビュー直前、偉大な科学者にちなんでバンド名を「テスラ」へと改め、1986年にデビュー・アルバム『メカニカル・レゾナンス』をリリースします。

彼らはその後、快進撃を続けます。1989年に発表したセカンド・アルバム『グレイト・レイディオ・コントラヴァーシー』からはシングル「Love Song」が全米チャートで10位のヒットを記録。続く1990年には、全編アコースティック演奏によるライブ・アルバム『ファイヴ・マン・アコースティカル・ジャム』をリリースし、そこからのシングル「Signs」（ファイヴ・マン・エレクトリカル・バンドのカバー）が全米8位という予想外の大ヒットとなります。このアコースティックでの成功は、当時の音楽シーンにおけるアンプラグド・ブームの火付け役の一つとも称されました。さらに1991年のサード・アルバム『サイコティック・サパー』まで、発表するアルバムはすべてミリオンセラーを達成し、テスラはその人気を不動のものとしました。

しかし、1990年代中盤になると、音楽シーン全体の変化、特に既存のハードロック/ヘヴィメタル・スタイルの人気の衰退が顕著になり、テスラもその影響を避けられませんでした。1994年に4作目のアルバム『バスト・ア・ナット』をリリースしますが、ギタリストのトミー・スキーオが薬物依存との闘病のため一時的にバンドを離れます。彼はリハビリを経て一度は復帰するものの、数ヶ月後には再び離脱。バンドは一時期、4人体制で活動を続けましたが、公式サイトでは1994年から2000年までの期間を正式な解散ではなく、活動休止期間(HIATUS)としています。

再始動、そして現在

2000年、ファン待望の再結成が実現します。デビュー当時のオリジナル・メンバーが再び集結し、10月15日に行われた再始動ライブは即日完売となるなど、その人気の根強さを証明しました。2001年には再結成ツアーの模様を収めたライブ盤『リ・プラグド・ライヴ』を発表し、健在ぶりを示しました。2004年には、休止期間を挟んで10年ぶりとなるオリジナル・アルバム『イントゥ・ザ・ナウ』をリリースし、完全復活をアピールしました。

その後、再びトミー・スキーオが薬物依存を理由にバンドを離れることになり、2006年からは後任としてデイヴ・ルードがギタリストとして加入しました。2007年には自らのレーベル「Tesla Electric Company Recordings」を設立し、翌2008年には通算6作目となるアルバム『フォーエヴァー・モア』をリリースするなど、マイペースながらも精力的な活動を続けます。ドラマーのトロイ・ルケッタが2021年に脱退（後任はスティーヴ・ブラウン）した以外は、長らく主要メンバーは不動のまま安定したラインナップを維持しました。2011年には初のアコースティック・スタジオ・アルバムを、2014年には通算8作目となる『シンプリシティ』を発表。2016年にはバンド結成30周年を祝し、デフ・レパードやREOスピードワゴンといった大物バンドと共に大規模な北米アリーナツアーを行うなど、現在もライブを中心に活動を続けています。

初期の爆発的な人気だけでなく、活動休止を経て再びシーンに戻り、長きにわたり高品質なハードロックを届け続けているテスラは、その実力と誠実な音楽性によって多くのファンから支持されています。

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