テトラクォーク

テトラクォーク：4つのクォークが織りなす謎

テトラクォークとは、通常のメソン（クォークと反クォークの対で構成）とは異なり、2つのクォークと2つの反クォークから構成される複合粒子です。素粒子物理学における強い相互作用を記述する理論である量子色力学（QCD）は、このような4つのクォークが結合して「カラー中性」の状態を形成することを許容しています。しかし、テトラクォークの存在を実験的に確認することは非常に難しく、その性質や構造は未だ多くの謎に包まれています。

テトラクォーク探索の歴史

テトラクォークの探索は、高エネルギー加速器を用いた実験によって進められてきました。2004年には、フェルミ国立加速器研究所（Fermilab）が発見したDsJ(2632)という状態がテトラクォークの候補として注目を集めました。しかし、その性質を詳細に調べる中で、通常のメソンである可能性も指摘され、テトラクォークとしての決定的な証拠は見つかりませんでした。

2009年3月17日、フェルミラボはY(4140)と仮に名付けられた粒子を発見したと発表しました。この粒子は、J/ψ中間子とφ中間子に崩壊することが確認され、チャームクォークとストレンジクォーク、そしてそれらの反クォークから構成されていると考えられました。この発見は、テトラクォークの存在を強く示唆するものとして、大きな注目を集めました。

テトラクォーク研究の現状と展望

Y(4140)の発見以降も、テトラクォークに関する研究は活発に進められています。様々な実験グループが、新たなテトラクォーク候補の探索や、既存の候補の性質の精密測定を行っています。テトラクォークの構造や崩壊様式を詳しく調べることで、QCDの理解を深めることができると期待されています。

テトラクォークは、クォークの結合様式や強い相互作用の複雑さを理解するための重要な手がかりとなります。今後の研究によって、テトラクォークの謎が解き明かされ、素粒子物理学の新たな地平が開かれることが期待されます。

関連項目

異種中間子
異種バリオン
ペンタクォーク

外部リンク

The Belle experiment
* Belle press release

もう一度検索