テトラドラクマ

テトラドラクマ（古代ギリシア語: τετράδραχμον）は、古代ギリシアにおいて紀元前510年から紀元前38年頃まで広く流通した銀貨であり、4ドラクマの価値を持っていました。

現存するテトラドラクマの多くは、紀元前5世紀中頃以降にアテナイで造幣されたものです。この硬貨は、当時の古代ギリシア世界における取引において重要な役割を果たし、アテナイと政治的に友好的でない都市でも広く使用されていました。アテナイは、ラウリオン鉱山（現在のラブリオ）という国有の銀山を所有しており、そこから銀を調達していました。

アテナイで製造されたテトラドラクマ貨幣の特徴は、表面に知恵と工芸の女神であるアテーナーの頭部が描かれ、裏面にはアテナイのポリス（都市国家）を象徴するフクロウとオリーブの小枝、そして三日月が描かれていたことです。このデザインは、約2世紀以上にわたって基本的に変更されることなく使用され続けました。

アテナイがテトラドラクマ貨を造幣するにあたっては、1ドラクマあたり4.3グラムという基準を採用していました。これは、通貨の造幣において競合関係にあったアイギナ島との差別化を図るための方策でもありました。

アレクサンドロス3世（大王）の遠征によって、テトラドラクマ貨はヘレニズム世界全体に通貨として広まり、イランやインドといった地域でも広く流通するようになりました。中東地域においては、中世初期までその流通が確認されています。

現代においては、テトラドラクマはその美術的な価値の高さから、収集家の間で非常に人気のある収集品となっています。

関連項目
ドラクマ

外部リンク
Pictures of Athenian tetradrachms

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