テネリフェ・トラム

テネリフェ・トラム

テネリフェ・トラム（Tranvía de Tenerife）は、スペインのカナリア諸島にあるテネリフェ島で運行されている唯一の路面電車です。このトラムは、サンタ・クルス都市圏、特にテネリフェ島の州都であるサンタ・クルス市を中心に運行されており、地元の交通手段として大きな役割を果たしています。トラムは、テネリフェ市議会が80%の株式を保有するメトロポリターノ・デ・テネリフェ社によって運営されています。

歴史的背景

テネリフェ・トラムが運行を開始する以前、テネリフェ島には1901年に運行が始まった別の路面電車が存在していました。この旧式の路面電車はフリオ・セルベーラ・バビエラ氏により設計され、サンタ・クルスとラ・ラグーナをつなぐ役割を果たしていました。しかし、1927年に経営不振から市議会が運営に関与し、1951年に運行を休止しました。

テネリフェ・トラムの建設は、トラムとバスの運行を巡る政治的議論の結果、2004年に始まりました。その後、620mの試運転用の線路が完成し、2006年には全ての車両が納入され、最終的に2007年に1号線が運行を開始しました。この新たなトラムは、地域住民に高度な交通サービスを提供するための重要なインフラとなりました。

車両と設備

テネリフェ・トラムで使用される車両は、フランスのアルストム社によって製造されたシタディス302型の超低床車両です。この車両は70km/hで走行できる設計であり、実際には安全のために50km/hで運行されます。トラムは5両が連結されており、末端の運転車両2両と動力車3両で構成されています。

路線情報

テネリフェ・トラムには現在、1号線と2号線があり、1号線はサンタ・クルスからラ・ラグーナまでの12.5kmを結び、21の停留所があります。通常、1日に約46,000人の乗客が利用しています。この路線はオスピタル・ウニベルシタリオ停留場とエル・カルドナル停留場で2号線と接続しており、利便性が高いです。2011年には一部の停留場が移転する改良も行われました。

2号線は2009年に開業し、サンタ・クルスからラ・ラグーナの大学病院を結んでいます。将来的にはさらに人口の多い地域までの延伸計画が進行中です。

運賃体系

テネリフェ島では、トラムとバスを統合した一貫した交通システムが提供されており、どちらの交通手段でも乗車料金が同じです。基本の片道運賃は1.35ユーロ、往復2.50ユーロです。よりお得に利用できるプリペイドカード「ボノビア」が導入されており、15ユーロ分や30ユーロ分のチケットが販売されています。

未来の展望

テネリフェ・トラムのさらなる発展が期待されており、現在、サンタ・クルスの海岸沿いに新しい3号線の建設計画も進められています。これにより、地域の交通網がより一層充実し、利便性が高まることでしょう。

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