アルストム

アルストムの概要

アルストム（Alstom）は、フランスを拠点とする鉄道車両の製造を行う多国籍企業であり、通信、信号、メンテナンスなどの幅広い鉄道関連技術やソリューションを提供しています。日本では「アルストーム」とも呼ばれるこの企業は、中国中車に次いで世界で第2位のシェアを誇り、パリの近郊に本社を置いています。また、ユーロネクスト・パリに上場しており、その株式は金融市場でも取引されています。

沿革

アルストムは、設立当初から現在に至るまで、鉄道関連の専業メーカーとして飛躍的な成長を遂げてきました。1826年に設立されたアルザス建設機械と、第一次世界大戦後にゼネラル・エレクトリックの子会社として設立されたコンパニー・フランセーズ・トムソン・ヒューストンが1928年に合併し、アルストムという社名を持つ企業が誕生しました。社名は両社名の一部を組み合わせたもので、当初は「Alsthom」と表記されていました。

その後、アルストムは1932年に電気機関車を製造していた企業を買収し、鉄道車両の製造を強化していきます。第二次世界大戦後は、復興の一環としてフランス国鉄向けに多くの電気機関車を生産し、記録的な速度を誇る機関車も開発しました。

CGE傘下と再独立

1969年、アルストムはCompagnie générale d'électricité（CGE）の傘下に入り、鉄道分野の発展が進む中で、数々の革新的な製品を世に送り出しました。1981年に営業が開始されたフランスの高速鉄道TGVは、その性能の高さからブランドの象徴ともなり、歴史的な技術と見なされています。

しかし、経営の変動もあり、1998年には通信や防衛事業を重視するアルカテルから分離され、再び独立独行の道を歩むこととなりました。この際に社名も「Alstom」に変更され、鉄道車両の製造に特化する企業へと転身しました。

製品ラインナップ

アルストムは高速度鉄道、地下鉄、路面電車、そして機関車など幅広い製品を展開しています。成功を収めているTGVの全車両はフランス国鉄に納入されており、また地下鉄、トラム、近郊電車なども多数製造しています。特にシタディスブランドの低床電車は、世界中の多くの都市で採用されています。

国際展開

フランス国内だけでなく、世界中でその製品が使用されています。イギリス国鉄のユーロスター用373形電車や、韓国のKTXなど、国際的にも多くの顧客を抱え、信頼される鉄道車両メーカーとしての地位を確立しています。

アルストムリンク方式と日本法人

アルストムが開発した「アルストムリンク式台車」は、その革新性で注目されています。この方式は、従来の台車設計の欠点を克服することを目的としており、日本でも一時期採用された実績があります。日本法人としては、以前存在したABB・アルストム・パワー株式会社やアルストム株式会社がありましたが、2015年にGEパワーに統合されました。

結論

アルストムは、今後も多様な鉄道技術やサービスを通じて、世界の交通インフラに貢献していくことでしょう。

もう一度検索