テフルベンズロン

テフルベンズロン（英: teflubenzuron）は、昆虫成長制御剤の一種であり、特にハエやアブなどの衛生害虫の幼虫駆除に利用されます。

作用機序

テフルベンズロンは、昆虫のキチン質合成を阻害する作用を持ちます。キチン質は、昆虫の exoskeleton（外骨格）や気管、消化管などを構成する重要な成分であり、幼虫の成長や脱皮に不可欠です。テフルベンズロンは、このキチン質の合成を阻害することで、幼虫の正常な発育を妨げ、最終的には死に至らしめます。

具体的には、テフルベンズロンは、キチン合成酵素に結合し、その活性を阻害すると考えられています。これにより、幼虫は正常な外骨格を形成できなくなり、脱皮不全や発育阻害を引き起こします。

特徴

選択毒性: テフルベンズロンは、昆虫に対して比較的選択的な毒性を示します。これは、昆虫と哺乳類などの間でキチン質合成のメカニズムが異なるためと考えられています。ただし、水生生物など、他の無脊椎動物に対しては影響を与える可能性があります。
残効性: テフルベンズロンは、環境中での残効性が比較的長く、一度散布すると長期間にわたって効果が持続します。このため、幼虫の発生源に対する継続的な防除効果が期待できます。
適用場所: テフルベンズロンは、ハエやアブの幼虫が発生する場所、例えば、堆肥、下水、汚水溜まりなどに散布されます。また、養鶏場や養豚場などの畜産施設におけるハエの発生抑制にも利用されます。

注意点

環境への影響: テフルベンズロンは、水生生物に対して毒性を示す可能性があるため、使用には注意が必要です。特に、公共用水域や養魚池などへの流入は避けるべきです。
薬剤抵抗性: テフルベンズロンを長期間使用すると、昆虫が薬剤抵抗性を獲得する可能性があります。このため、連用を避け、他の殺虫剤とのローテーション散布や、発生源対策との組み合わせが推奨されます。
使用方法: テフルベンズロンは、製品によって使用方法や希釈倍率が異なります。使用前に必ず製品ラベルをよく読み、指示に従って使用してください。

関連化合物

テフルベンズロンと同様の作用機序を持つ昆虫成長制御剤として、ルフェヌロン、ジフルベンズロン、トリフルムロンなどが挙げられます。これらの化合物は、それぞれ異なる特徴を持ち、適用害虫や使用場面に応じて使い分けられます。

参考文献

* 伊藤勝昭ほか編集　『新獣医薬理学 第二版』 近代出版　2004年　ISBN 4874021018

もう一度検索