ルフェヌロン

ルフェヌロンは、昆虫成長制御剤として知られています。その作用機序は、昆虫の体を作る上で重要な成分であるキチン質の合成を阻害することにあります。キチン質は、節足動物の外骨格を構成する主要な成分であり、特に発育段階で活発に合成されます。ルフェヌロンはこのキチン質の合成を妨げることで、幼虫が正常に成長することを阻害し、孵化や脱皮を阻止します。

用途

ルフェヌロンは、その特性から農薬および動物薬として利用されてきました。

農薬として:
主に鱗翅目（チョウやガの仲間）、フシダニ、ミカンキイロアザミウマといった農業害虫に対して使用されていました。商品名としては「マッチ乳剤」が知られています。
動物薬として:
イヌやネコにおいては、ノミの駆除薬として経口投与されていました。代表的な商品名としては「プログラム」がありましたが、現在は販売が終了しており、入手は困難です。

安全性と環境への影響

ルフェヌロンの安全性に関しては、ラットを用いた経口投与試験でLD50値が >2000 mg/kg と報告されています。これは比較的毒性が低いことを示唆していますが、環境への影響、特に水生生物への毒性が懸念されています。

動物プランクトンに対する毒性が確認されたため、ルフェヌロンはスウェーデン化学品庁によって提案された殺生物剤の禁止リストに含まれていました。その後、2009年に欧州議会で承認され、2009年1月13日からはEU圏内での使用が禁止されています。

物理化学的性質

融点: 174 ℃
CAS登録番号: 103055-07-8

関連化合物

ルフェヌロンと同様に、キチン質合成阻害作用を持つ化合物として、以下のものが挙げられます。

テフルベンズロン
ジフルベンズロン
トリフルムロン

参考文献

伊藤勝昭ほか編 『新獣医薬理学 第二版』 近代出版、2004年。ISBN 4874021018

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