テューリンゲン州 (1920年-1952年)

テューリンゲン州：ドイツの歴史を刻んだ地の変遷

テューリンゲン州（ドイツ語: Land Thüringen）は、その成立から解体、そして再建に至るまで、ドイツの激動の歴史を色濃く反映した地域です。1920年、第一次世界大戦後の混乱期に、テューリンゲン地方に存在した複数の小国が統合し、テューリンゲン州が誕生しました。本記事では、その成立の背景から、ヴァイマル共和政、ナチス・ドイツ、東西ドイツ分裂、そして再統一後の現代に至るまでの変遷を詳しく解説します。

テューリンゲン州の成立

1918年のドイツ革命により、テューリンゲン地方の各国で君主制が廃止されました。これにより、ザクセン＝ヴァイマル＝アイゼナハ自由州、ザクセン＝マイニンゲン自由州、ザクセン＝アルテンブルク自由州など、7つの自由州と人民州が1920年に合併し、テューリンゲン州が成立しました。しかし、コーブルク自由州は住民投票の結果、バイエルン自由州との合併を選択しました。長年にわたり分裂状態にあったテューリンゲン地方が、この時ようやく統一されたのです。州都はヴァイマルに置かれましたが、最大の都市はゲーラでした。

紋章の変遷

テューリンゲン州の紋章は、1921年に7つの州の統合を象徴する7つの星が描かれたものが制定されました。しかし、ナチス政権下では、この紋章がダビデの星を連想させるとして変更され、テューリンゲン方伯の紋章である「ブンデンレーヴェン」にハーケンクロイツを持たせたものが用いられました。第二次世界大戦後には、「赤字に金色のライオンと8つの星」という紋章に改められ、8つめの星はプロイセン自由州から編入された地域を示しています。この8つの星は、現在のテューリンゲン自由州の紋章にも引き継がれています。

ヴァイマル共和政からナチス・ドイツへ

テューリンゲン州もヴァイマル共和政期には政治的混乱に見舞われました。1923年には、ドイツ社会民主党と共産党による連立政権が成立しましたが、ヴァイマル共和国軍の介入により解散に追い込まれました。1930年には、ナチ党員のヴィルヘルム・フリックが州内相兼教育相として入閣し、地方政府へのナチ党員の初入閣となりました。1933年にヒトラーが権力を掌握すると、テューリンゲン州の自治権は奪われ、州都ヴァイマルはナチ党のテューリンゲン大管区の管区都となりました。

第二次世界大戦とその後

第二次世界大戦中、テューリンゲン州は他の地域に比べて空襲の被害は少なかったものの、ノルトハウゼンなどの都市は大きな被害を受けました。戦後、テューリンゲン州はソ連占領地帯に組み込まれ、プロイセン自由州からエアフルト行政管区が編入されました。1946年には自由選挙で州議会が選出されましたが、1952年には中央集権体制を確立するため、州の自治権が縮小され、エアフルト県、ゲーラ県、ズール県の3つに分割されました。

ドイツ再統一と現代のテューリンゲン州

1990年のドイツ再統一に伴い、テューリンゲン州は再建されました。旧東ドイツの3つの県が統合され、現在のテューリンゲン自由州が誕生したのです。テューリンゲン州は、その歴史的な背景から、文化的な遺産が豊富であり、観光地としても人気があります。また、近年では、経済的な発展も進んでおり、ドイツ国内での存在感を高めています。

テューリンゲン州は、その成立から現代に至るまで、ドイツの歴史と深く結びついています。その変遷を辿ることで、ドイツの近現代史をより深く理解することができるでしょう。

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